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Beatportのレーベル「足切り」問題

テクノ2009-01-24 17:21

前の記事でも触れた表題の件について、少し調べてみた。
まず、いくつかの情報を総合した結論だけ先にまとめてしまうと、以下の2点となります。

  • Beatportは1年前、いわゆる"quality control"の一環として、売り上げについて一定基準を満たさないレーベルの取り扱いを解除する方針を明らかにしている。
  • ここ数日でいくつかのレーベルが"inactive"としてサイト上での取り扱いを停止されている件と、上記の既定方針との関連はいまだ不明。

後者に関しては、公式なアナウンスがあるまで何とも言えない。というか、inactiveなレーベルの中にも結構メジャーなレーベルもあるし、状況証拠から判断するにはまだだいぶ情報が乏しいかな、という印象。
ただ、いずれにしても、品質基準を設けて参入を制限するという方針については確定的なようです。私はこれについて何も知らなかったため、少なからずショックを受けています。

情報の出所としては、下記。

RA: Beatport increases quality control, cuts labels. Music News
http://www.residentadvisor.net/news.aspx?id=9088

これによると、「四半期の総売上が$300に満たないレーベルは観察下に置かれ、次の四半期を足して$600に満たない場合はサイトから取り消されることがある」という方針が、2008年1月には発表されていたらしい。副社長のRonny Kreigerは、これについて「明確なプランを持っていたり、独自のサウンドを持っているレーベルはこの限りではない」と補足しているみたい。

複数のフォーラムでの書き込みによれば、2007年の12月には各レーベルオーナー宛てに新運営方針についてのメールがあったらしく、添付されいてたPDFが出回った形跡もある("Beatport Aggregated Label Policy and Marketing Guide 08.pdf"というファイルがそれっぽい?:消えているため未確認)。
また、この「$300のデッドライン」については、Proton MusicというレーベルのマネージャーであるJay Epochによる証言もある。

Filter27 | Beatport imposing sales requirements for labels: Less crap in the future?
http://www.filter27.com/archives/2008/01/beatport-imposing-sales-requirements.php

このデッドラインの新設によって「足切り」に遭うレーベルの数が1,000に達するらしい、という書き込みが、watさん経由で知った下記のフォーラムのトピ主の発言。こちらも去年の1月のもの。

mnml.nl :: View topic - Beatport cuts round two.
http://www.mnml.nl/phpBB2/viewtopic.php?t=42098&postdays=0&postorder=asc&start=0

そして遂に、実際に自分のレーベルがBeatportから"cut"されたという報告が入る。ディストリビューター経由で連絡があったとのこと。

Beatport to cut a large amount of labels
http://www.progressivehouse.com/forums/viewtopic.php?t=14760&postdays=0&postorder=asc&start=35

これが、一連の情報から丸1年飛んで、今年1月7日の書き込み。ここに挙げられている7項目の基準も、公式に提示されたものかどうか不明ではあるけれど、1年前から言われていた"quality control"ポリシーとも方向性は合致するように思える。

どうも、複数のフォーラムの流れをまとめると、このような感じ:去年の1月くらいにレーベル新基準の発表で一時的に話題になったものの、しばらく動きがなかったので沈静化していたのが、今年に入ってから実際にレーベル削減に向けて動き出したため、再燃。もちろん、繰り返すように、この動きと現状の「inactive問題」との関連は明らかになっていないのだけど。

で、ここからはBeatportの"quality control"に対する私の感想。

まず、なぜこの方針に対して動揺したかというと、「売り上げによる取り扱いレーベルの取捨」というのは、私がBeatportに期待していたのと正反対の動きだったから。この要旨は、フミアキさんが以下の記事で危惧していることと全く同一のものなので、こちらを参照してください。

gatearray recordings blog - beatportを取り巻く不穏な噂と、今自分に出来ることを真剣に考えてみる。
http://gatearray-recordings.net/blog/archives/286

そもそも、取り扱いレーベルの削減って、運営上のコスト削減にそれほど寄与するのかなぁ、と思う。素人考えだけど。mp3なんかホストするのに必要なリソースなんてたかが知れているわけだし、ましてwavファイルは楽曲単位で別料金を取ってるわけだし。

とはいえ、その一方で、何を仕入れて何を仕入れないかを判断するのもレコード店の重要な仕事のひとつ、という理屈も分かる。私は、Beatportには「なんでも置いてます」っていうAmazon路線を(無意識のうちに)重ねて見ていたのだけど、ブランドを維持するために扱う商品を絞るというのであれば、それもアリだと思う。

大事なのは、「Beatportで買えない曲も、別の店なら買える」という環境であって、そういう意味でJuno DownloadTrackitdownも、今後利用する機会が増えそうな気がする。既に、互いを補完するような関係はできつつあるみたいだけど。

それにしてもやっぱ、なーんかこの件が腑に落ちないってのは、「品質」を計る物差しとして「売り上げ」が求められているという点なんだろうなぁ。この2つは必ずしも相関関係にはない、というのは、Beatportの中の人ならよく理解していると思っていただけに。

ダブステップ・フォーラムの該当する話題のトピックにて、去年12月26日の書き込み。

i have to add that sales are not necessarily an indicator of quality.
http://dubstepforum.com/viewtopic.php?p=947443#947443
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