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シュテファン・フッソング~現代美術と音楽が出会うとき

クラシック2012-03-18 02:49

上野を中心として、3月16日から4月8日にわたって開催されている「東京・春・音楽祭」の主催公演のひとつ、アコーディオンのシュテファン・フッソング(Stefan Hussong)氏によるソロ・コンサートに行ってきました。場所は不忍口のすぐ近く、上野の森美術館の展示室。いわゆるコンサートホールではなく、普通に企画展の作品が展示されている一室で、照明もそのまま、100席ほどのパイプ椅子を設けただけの不思議な空間でした。

フッソング氏の名前は、CDなどでは見かけていたものの、今回の公演を機に具体的な活動内容を知って、興味を惹かれました。まず、アコーディオン奏者としてレパートリーが独特!現代音楽をメインに、バロックや雅楽など、一見して両極端な音楽を追求しているよう。また意外なことにご本人は日本語がとても堪能で、曲間にユーモアを交えた解説をしながらの進行でした。

1曲目からの雅楽。アコーディオンの高音のリードで弾く高い音は、まるで笙そのもので、まったく違和感がなかった。次第に音が分厚くなって、空間を満たしていく感じ。一転して現代音楽のレパートリーでは、目にもとまらぬ速弾きで圧倒するというよりは、強弱の効いた確実な(けれど極めて複雑な)演奏でした。
ケージとバッハを続けて弾いていて、どうしても連想するのが、昨年「BACH×CAGE」でツアーを行ったピアニストのフランチェスコ・トリスターノのこと。選曲も似通っていて、今回ではケージの「ある風景のなかで」のほか、一昨年の公演ではストラヴィンスキーの「タンゴ」も取り上げていましたね。やはり、何かしら共通点があるのかも。

素晴らしかったのが「荒城の月」の(本人による?)編曲で、独創的な冒頭部分に次いで、主題が徐々にダイナミックに膨らんでいくところに感激。こんなにいい曲だったとは。
アンコールはサティのエンドレス・タンゴ。不思議な雰囲気の曲で、美術館のなかというロケーションにぴったり。最後は、弾きながら舞台を降りてフェードアウトしていく、というアコーディオンならではの演出に沸きました。

実は、今回の演目のうちの多くは、YouTubeのフッソング氏本人のチャンネル(HussongStefan)で映像が公開されています。ティエンスーの「ファンタンゴ」なんかおすすめです。最初聴いたとき面食らったけど、なぜか癖になりますね。アコーディオンという楽器の可能性にわくわくしました。これから、CDなどの音源も追っていこうと思います。

ミュージアム・コンサート
シュテファン・フッソング(アコーディオン)
~現代美術と音楽が出会うとき

2012年3月17日(土)19:00@上野の森美術館 展示室

雅楽(10世紀):盤渉調の調子
ヘルツキー:ハイウェイ・フォー・ワン
ケージ:ドリーム
J.S.バッハ:コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
ティエンス:ファンタンゴ
滝廉太郎:荒城の月
ストラヴィンスキー:タンゴ
==
ケージ:ある風景のなかで
原田敬子:《BOOK I》アコーディオン独奏のための
ソレール:ソナタ 第62番 ハ長調「アレグロ・スピリトーソ」
J.S.バッハ:
コラール前奏曲「深き悩みの淵より、われ汝に呼ばわる」BWV687
グバイドゥーリナ:デ・プロフンディス
==
[アンコール]
エリック・サティ:「スポーツと気晴らし」より第16曲「タンゴ」
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