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調布音楽祭&バッハ・コレギウム・ジャパン「ブランデンブルク協奏曲」

クラシック2014-07-07 01:02

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7月3日から6日にわたって調布で開催されたクラシック音楽イベント「調布音楽祭」の最終日へ行ってきました。いまの形で開催されるのは昨年に続いて2度めということで、私は先のBCJの公演のチラシで初めてこの音楽祭の詳細を知りました。Webサイトがきれいにまとまっているので、概要はこちらで。

調布音楽祭 2014 | Chofu Music Festival
http://chofumusicfestival.com/cmf2014/

大きな特徴としては、調布を本拠のひとつとするバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が全面的にバックアップしているという点で、大手の音楽事務所がついている「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」や、大きなスポンサーがついている「東京・春・音楽祭」とはまた違い、良い意味で手作り感のある音楽祭でした。

総合プロデューサーは、BCJの一員でもあり、バロック~現代音楽と幅広く活躍されている音楽家の鈴木優人さん。先日、Twitterでフランチェスコ・トリスターノと食事をしている写真が流れてきてびっくりしましたが。また副プロデューサーは、ニコニコ界隈では「ピアニート侯爵」として知られ、ついこの前も知性溢れる論評(「より正しい物語を得た音楽はより幸せである ~佐村河内守(新垣隆)騒動について~」)が話題となったピアニストの森下唯さん。ピアニート侯爵は、今から6年前とかに「時報によるロマンス ト長調」で知って以来好きだったけれど、まさか鈴木優人さんと同級生で、こんな音楽祭で繋がるとは思っていなかったです。
今回は、このお2人のコンサートを聴く機会こそなかったものの、自分と同年代の音楽家がバリバリ活動してこういう市民レベルの意欲的な音楽祭を動かしているというのを知ると、なんだか嬉しいですね。

会場は、京王線調布駅の南口周辺でいくつかに分かれていて、調布市グリーンホールの大小ホール、文化会館内のホールとオープンスペース、それにグリーンホール外の広場でも演奏会をやっていました。有料公演だけでなく、フリーのステージもそこそこあって、早めに着いたので調布駅周辺をぶらぶらしつつ、オープンスペースのミニコンサートを覗いたり。若手演奏家によるヴァイオリンやピアノ素晴らしかった。お客さんのレベルも高いというか、無料公演でもマナー良くて拍手も暖かい感じで、雰囲気がいいなと思いました。

さて、目当ての有料公演はBCJによるブランデンブルク協奏曲全曲。1番から6番まで、これ全曲をいっぺんにというのは大変なことで、楽器編成も全然バラバラだし、アンサンブルを率いる鈴木雅明先生は足かけ2時間半チェンバロを弾き通しだしという、タフなコンサートです。演目としては、6番から5番と遡っていく要領で、最後にもっとも大編成の1番でお祭り的に締めくくるという構成。これがまさに素晴らしいアイデアでした。

ちょっと静かに深いところから始まる6番、第三楽章でバッハらしい歯切れの良いリズムとヴィオラの緻密で鮮烈なデュエットにさっそくテンションが上がってしまう。次いで、チェンバロに反響板を立てての5番。この5番は特に好きな曲で、通奏低音の楽器だった鍵盤楽器を協奏曲のソロ楽器として前面に押し出したごく初期の作品として知られています。快走する雅明先生のチェンバロの勢いに圧倒された。トラヴェルソも良かった!4番は何と言っても寺神戸さんの軽やかな超絶技巧とリコーダー2本の絡み。

休憩を挟んで、後半は3番から。ここの冒頭で注釈があって、2楽章からなるこの3番の間に、3台のチェンバロのための協奏曲の緩徐楽章を3人ヴァイオリン、3人ヴィオラ、3人チェロ+コンティヌオ用に編曲して挟むとのこと。これが驚くほど違和感がなかった。この編成、視覚的にも大変面白いのと、低音がものすごく強調されて、特に第三楽章はビート感が強くまるでダンスミュージックだった。2番はギィ・フェルベ氏によるトランペットソロもカッコ良かった。最後は、盛大に1番を演奏して、祝祭の余韻を残しつつ終了。

ブランデンブルク、明るくて心が躍るような曲が多いし、どこまで行っても最後は冒頭に戻ってくるという安心感がある。あとバッハは何でもそうだけど、ひとつの音型がコピーされ、拡大され、どれほど複雑に網目のように展開しても、ラストはみるみるうちに折りたたまれてひとつの点に収束するという美しさ!堪能しました。

音楽祭に関わっている方々にとっては、あれこれと表からは見えないご苦労もあるのだろうけど、この挑戦的なイベントはぜひ来年以降も続けてほしいなと思います。何をおいてもBCJという世界に誇る古楽アンサンブルを擁するというのはすごいことだし、調布市はこういう音楽祭があることを内外に誇っていい。市外からの観客としては純粋にうらやましいなあと思う。すごく楽しかったです。

コンサートが終わって、以前少しだけお仕事でお世話になった調布駅前のたけちゃんにぼしらーめんさんへ。調布へ行く機会があったらきっと食べに行こうと決めていたのをようやく。私はまったくのラーメン初心者なんだけど、煮干しのダシがすっごく効いた醤油ラーメン、美味しかった。また行こうっと!

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