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[ テクノ ]

そろそろSchranzについてひとこと言っておくか

というか、どうもFelix Kröcherが思ってた以上に注目を集めているっぽいので、WIREの前にちょっと書いてみる。mixiのSchranzコミュニティの人の増え方とか見ていると、ここ一年くらいでぐっと伸びた印象があって、去年のWIRE以降注目されているジャンルではあるのかな。

改めて説明するまでもないけれど、念のためこう呼ばれてる系統の音の特徴をまとめておくと、bpmは140後半から160くらい、上モノはほとんどなくて終始割れすぎなサウンド、細かくフィルター展開とかがあって、大抵大きいブレイクが2、3回あるような感じですか。あと、徹底的にダーク。ハードミニマルをもっとハードにして、ハードテクノから色を取り去ったような。誤解があるとあれなので、例によってWikipedia:シュランツあたりを参照いただけるといいかと思うんですが。

で、04年にコミュ立てたはいいものの、個人的には既に熱が冷めかけていたりして、実はこのエントリでもわりとネガティブなことを書こうと思っていた。けど、これをテクノ全般に置き換えてみて、「最近テクノが面白くない」と言っている人がいたとしたら、私はその人が「最近のテクノを聴いてないから」だと指摘すると思う。アマチュアに根付いた音楽はなんでも、最新のものは根っこにあるわけで、そこを聴かずにどうこう言うことはできない。なので、そういう観点で書くのはやめておこうと。

とはいえ、より建設的に、これからシュランツがどういう方向に進んでいけるのかというのを考えてみても、可能性はそんなに多くない気がしている。あくまでも私の感想だけど、これ系の音作りではSven Wittekindが2003年に"Headnut"で究極形を完成させてしまっていて、ループ単体でこれを超える曲はまだ出てない(と思う)。
要するに、上モノもベースもほとんどなくて、基本的にはキックとハットとパーカッションだけで突き詰めていくという条件下で、それを極めてしまうと、他にできることはブレイクの奇抜さやサンプルの大ネタ使いを競うくらいしかないという宿命がある。現にシーンとしてもそのように展開しているようだし。ベースや上モノでクリエイティビティを発揮できないと辛いというのは、自分で作っててよく分かった(EPXの24、25以降)。

ところで、この周辺に活気があるように見えて面白いのは、このシーンがアマチュア主体で進行している(いた)からだと思う。もちろん今はどうだか知らないけれど、私が複数のシュランツ系フォーラムに入り浸っていた2年前までとかはそうだった。ネットで自作曲をやり取りし合って、その中からVarious Artistsのコンピ形式でリリースしていくような例がいっぱいあった。マイナーだし間口が狭かった分、コミュニケーションが濃密になりやすいというのは草の根の強みだと思う。当然クオリティのバラつきはひどいもので、アナログリリースされているものですらそういうレベル(曲以前にミックスが外れな率が異常に高い)なんだけど、それ以上に熱かったというか。テクノのネット黎明期(97年前後)を知っている人なら分かると思いますが、、あの感じを思い出した。

なので、漠然と、あの空気が国内の横浜アリーナみたいなとこをを引っ掻き回してくれるなら面白いかなと思う。音的にどういう方向に進化していくにしろ、消費されていくものではなくて、何かしら後に繋がるものであってほしい。最近ではシュランツオンリーパーティーみたいな活動をされている方もいるようだし(ちょっと前では考えられなかった)、狭い世界なんだからどんどん広義のテクノが盛り上がるといいと思う。

最後に、Schranzの生みの親とされるChris Liebingが、2002年4月に自身のサイトで発表した"schranzstatement"を紹介したい。リニューアルのタイミングで既にサイトからは消えてしまっているけど、Web Archiveに残っていた。シュランツでもテクノでもエレクトロニック・ミュージックでも、どのように呼んでもいいじゃない、ってことで。

Chris Liebing | CL Recordings | schranzstatement

Author:
R-9 (EPX studio)

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