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[ 日記 ]

退職します

まあ、ちょっとした、山登りのお話なんです。

2年と少し前まで、私はとある山のふもとの茶屋でノンビリしていました。何をするということもなく、日がな一日、だんごをほおばってボーッと外を眺めていたわけですね。今思えばなんですが、このときの自分は軽い記憶喪失でした。別に手ぶらじゃなくて、両手にいっぱい荷物を持っていたんですが、それをどうしていいやら、ただ持て余していました。

ところがある日、通りかかった何人かの登山者に声をかけてもらったのがきっかけで、私はようやく重い腰をあげて、山に登ってみることにしました。そろそろだんごを買う金もなくなりつつあったし、運良く登山口がすぐそこであることに気が付いたからです。相変わらず記憶は取り戻せなかったけれど、とにもかくにも私は山を登り始めました。

しばらく歩いてゆくと、ぼんやり霞がかっていた山道もだんだん晴れてきて、登山の楽しみが分かるようになってきます。初めのうちは、石につまずいて転んだりなんかはしょっちゅうだったけど、足元に注意するようになってからはそういうことも減ってくるわけですね。同じ道を歩いている登山者とも仲良くなって、そんな具合で1年半ほど歩き続けました。
けれど途中から、両手に下げている荷物の重さがものすごく気になり始めます。ただ山を登るにしてはやけに重い。あんまり重いんで、歩みを止めて荷物の中身を見てみることにしました。

包みを開けると、出てきたのは木材やレンガやらの建材に大工道具、その他もろもろ。
そこで、失ったはずの記憶が甦ります。

要するに、私は「山に登るため」にふもとの茶屋まで来てたんじゃない。「山の上に家を建てるため」にふもとまで来ていて、そこでぼやっとしているうちに、いつの間にか目的を忘れかけていたわけです。途中で荷物を手放さなかったのが幸いして、ここまではなんとか思い出すことができました。

ただ、ここで家を建てるにはあまりにも必要な建材が足りない。現地調達しようにも、後から後から新しい登山者がやってくるので、立ち止まっているわけにはいかない。それに、どうも初めから設計図も持っていなかったような気がする。

私はいったん、荷物を持って、山を下りることにしました。

なげぇ。
というわけで、掲題の通り、今月いっぱいで今の職場を辞めることにしました。

仕事が決まったときに山の話を書いたので、山登りでまとめてみたんですが、余計わかりにくいよ。これでも文芸部だったんですけどね、高校で。

実際のところ、目的を忘れていたわけではないんです。自分にとってWeb制作って、初めてホームページを作った97年の7月から、10年以上を経た今に至るまで、ずーっと自分の作ったものを出力する「手段」だったし、Web制作会社に入社ってことでむりやり「目的」にしてみたところで、それは変わらなかった。

絵を描いたり音を作ったり、一日中そればっかしていたいわけです。
恐らく私はWeb制作の適性があるんじゃないかというのは、自覚するところではあったんですよ。事実、職場は楽しかったし仕事も辛くはなかった。でも、職場にいるときは、これはオーバーでもなんでもなく、一秒でも早く帰りたいと思っていました。いつも。常に。

なのでこれは、ほんとうにシンプルに、優先順位の問題なんです。やりたいことを一日中やっていくためには、宝くじに当たるんでもない限り、それを仕事にできなきゃいけない。だけどそのためには、今の仕事を辞めてでも時間を確保しなきゃいけない。

時間がない、というのは切実な問題で、私は中1のときイワモト先生に言われたことをいまだに思い出します。これ、前にもここで書いたことあるかもしれない。

ある課題で木彫りの皿を提出することがあって、それをイワモト先生に見せるときに「時間がなくて」と言い訳をしたら、「時間は作るもんだ」と叱られたことがあった。言葉の意味を説明されたわけじゃなくて、そのときはそれだけだったんだけど、そのフレーズはあとからじわじわ効いてきた。
つまり、時間ってのが有限であって、時間とヒモづくあらゆる仕事が排他的である以上、何にどれだけの時間を割り当てるかというのは自分の裁量次第なわけですよ。「時間がない」のは、その作業の優先順位を、それ以外のものより低く見積もっているからであって、だから少なくとも言い訳としては成立しないはずなんです。

私は今やりたいことをやらずに、「時間がなかった」と言い訳したくないし、言い訳したところで、それは実のところは自分の中での優先順位が低かったという証明にしかならない。

まどろっこしいことを書きましたが、要約すると、
「雪見だいふくは2個入りなんだから、3個は入らない」
ということです(えー!)

そんなこんなで、年明け早々無職になるわけですが、相も変わらずポジティブだし能天気です。とりあえず前半の数ヶ月でポートフォリオをまとめたり、情報収集のため動きます。今年はとにかく動いて、人に会うことを目標にします。
あと、3月くらいに別の計画を立ててます。これはまた別のエントリーで。

1/3追記:
すみません。大事なことがいっこ抜けてました。これだけだと単に道を間違えた人の話になってしまいますね。違うんです。そうじゃないんです。

今の仕事を勧めてくれた方々にも、職場で出会った方々にも、本当に感謝していますし、得がたい経験が出来たと思っています。私は人生の節々で進路を選んできたわけですが、「ああすればよかった」という後悔は一度たりとも「ない」です。これまでのところは。
この点、舌足らずですみませんでした。

コメント

お互い実りのある充実した一年を目指していこうね!

投稿者: kojima | 2008年01月02日 22:51

興味深くエントリー読ませて頂きました。

>なのでこれは、ほんとうにシンプルに、優先順位の問題なんです。やりたいことを一日中やっていくためには、宝くじに当たるんでもない限り、それを仕事にできなきゃいけない。だけどそのためには、今の仕事を辞めてでも時間を確保しなきゃいけない。

はてな見てるなら知ってると思うけど、
↓の人の考え方は近いような感じがする。
http://d.hatena.ne.jp/pha/
やりたいことを自分の自由な時間にして、
それでお金を稼ぐことが出来ればとてもHappyですね。

同じ業界に来なよ~と声を掛けた一人として(無責任にも)
今後のR-9さんの活動を楽しみにしてます。

投稿者: OFU | 2008年01月03日 00:22

あけましておめでとうございます!
近所(にいた)のzaemonでおま。
ことしもよろしくね。

はじめて書き込みます。

R-9のその、潔さというか、そんなものを見せつけられるとなんだか焦ります。だって、やっとこさ普通のリーマン生活を手に入れた僕は、忙しくはあるけど、なんとなく安穏と過ごしている気がするから。
同じ社内で働く、もっと安穏アンポンタンとしている後輩たちをみると「おいおい、大丈夫か?」という気にもなります。
いろんな人生があるけど、とっても前向きで胸張っているR-9を誇りに思うぜぃ。

今年は人に会うとのこと。そのひとりに再度いれちくり。

投稿者: zaemon | 2008年01月03日 16:11

Author:
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