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EPXスタジオ www.epxstudio.com

ポスターを作りました

日記2015-05-26 19:22

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普段は、即売会合わせで販促グッズを作ったりはしないんだけど(そもそもそんな気合の入った新刊を、余裕あるスケジュールで準備することができない…)、今回、「にんぱく」に向けて、初めてブース近くのカベに貼る用の大判ポスターを作ってみたので、その覚え書きです。

入稿が早めに終わって、ポスター作るのとかいいかもと思っていたところ、渡りに船で、ニンジャ万博公式さんからTwitterで「会場内にポスター貼れますよ」との再告知があったのが23日。それなら!ってことで、翌24日にデータを作って即入稿して、25日に発送されて、今日26日に届いたという流れ。早かった。

当初、いつもの地元のキンコーズで作ろうかなと調べていたんですが、なんだか思ったより高くて。B3ポスターで、手数料込みで1枚3,000円とかで、ちょっとなぁみたいな。で、もう少しリサーチしていたら、ずっと前にフライヤー印刷でお世話になった、大手のグラフィックさんのオンデマンドのほうがもっと全然安く作れる。

B3ポスター印刷 / ポスター印刷 価格表 | オリジナルプリント作成の決定版!印刷通販の【グラフィック】
http://www.graphic.jp/price/3079_113/

今回、サイズをB3にしたのは、単純にB5表紙のイラストを引き延ばして使いたかったので。多少粗くなることは覚悟していたけど、ポスター自体は売り物にする予定はないし、少なくとも主線はベクターだしなんとかなるかなと思っていました。B3サイズで350dpiの絵をいじっていると、マシンのメモリ不足が露骨に響いてきたりいろいろとありましたが、細かい編集をするわけではないので、どうにか。位置を調整してサークルのロゴを入れた程度です。

スタンダード光沢紙で2枚オーダー、念のためイベントに間に合わないとあれなので「1日納期」オプションをつけて2,110円。あと、アカウントが切れていたので新規に作成したら、思いがけず1,000ポイント分が付与された関係で、差し引き1,110円で作れました。京都からの送料込みですよしかも。これは安い。

余談ですが、代金をオンラインで送金したところ、うっかり10円足りない1,100円で入れてしまって、翌日あらためて不足分の10円だけを送るはめに。お賽銭かっていう。担当者の方、10円でお手間をおかけしてしまいすみませんでした。そういえば、笑う犬で「10円」っていうコントが好きだったな…。

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で、届きました。ほぼほぼイメージ通りで満足!色味がヘンだとしたら、そもそもの私の塗りがおかしいのか、スマホのカメラのせいなので、印刷所のせいではないです。こんなに安く早く、きれいに作れるものなんですね。また機会があったら作りたい。

ニンジャ万博-改善」は今週30日土曜、板橋区立グリーンホールで開催です。私がブースを出している即売会時間は11時~14時と短いので、ご注意を。よろしくお願いします。

「石田尚志 渦まく光」@横浜美術館

日記2015-05-24 22:28

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フミアキさんのお誘いで、横浜美術館で5月31日まで開催されている企画展「石田尚志 渦まく光」を観に行ってきました。すごくおもしろかった。

石田尚志(たかし)氏は72年生まれ、主に抽象絵画と動画作品の分野で活動されているアーティストで、今回が初めての大規模な個展になるそうです。その作品の制作手法というのが独特で、紙にさまざまに複雑な渦のような曲線や、あるいは遠近法を混乱させるような緻密な矩形を描いてはフィルムカメラでコマ撮りし、膨大な手間と時間をかけてアニメーション作品にするというもの。2Dのストップモーション・アニメ、いわば「動く抽象画」なのです。

最近だと、よくCGの制作過程なんかで筆跡が早回しでアニメーション化されたりしますが、あのような単純なものでは全然なくて、絵も撮影も完全にアナログ。しかも、筆跡のトレースではないので、画面内で同時多発的に線が生まれたり、消えたり(修正液で消している)、劇的にいろいろなことが起こる。
線の動きかたは、こう、何とも言えず官能的で、植物の蔓のようでもあるし、生物を超越したもっと無機的な何かのようにも見えます。更に作者の視点と連動してカメラが動いたり、作者の影や窓から差し込む日光が映り込んだり、複雑な条件が絡み合って、短く編集された数分の動画作品のなかから、莫大な情報量が読み取れます。

こういうときにYouTubeの動画などを貼れればいいんだけど、氏の作品はいま現在まったくと言っていいほど上がっていなくて、そもそもDVDなどソフト化されている作品もごくわずかのようなのです。インスタレーションを伴う物理空間を使った大規模作品はともかくとして、尺の短い動画作品などは、YouTubeやVimeoやニコニコ動画などのようなメディアとも相性がいいんじゃないかと個人的には思うんだけど、そこはそれ作家の意向もあるのだろうし、難しいところです。

でもまあ、今回のような企画展において、ただ結果としての映像だけではなくて、制作過程を推測できるような絵画作品が同時に展示されているというのは、大いに意味があることだと思います。特に衝撃的なのが、2001年に制作された「フーガの技法」という作品。これは、その名の通りJ.S.バッハの『フーガの技法』をモチーフにした19分の動画作品で、本作では抜粋された「コントラプンクトゥス1」、「コントラプンクトゥス11」、そして終曲の「未完のフーガ」に対して、厳格に譜面通りにアニメーションがつけられています。

例えば…コントラプンクトゥス1の冒頭で定時されるもっとも基本的なフーガの音型は、「シンプルな矩形が画面から遠ざかって、また近づいてくる」という映像に置換されています。で、楽曲中ではこの音型が反転したり拡大したり、様々に展開するわけですが、これとほとんど完全に対応する形で、アニメーションが展開される。時には有機的な模様で画面が埋め尽くされ、白く反転し、分裂して重なって…というように。

で、この映像だけを観るとまるでCGかと思うくらい、どうやって作ったのかが分からない。そこで、並列展示されている膨大な原画や描き込まれた楽譜、本人以外にはまったく意味不明な、記号だらけの制作ノートをひと通り見て初めて、これが魔法でもCGでもなんでもなく、真摯に譜面を解析して、ものすごく音楽に忠実に、こつこつと手作業で積み重ねた成果であることが判るわけです。

作中の音源は、トン・コープマンとティニ・マトーによるチェンバロ版。石田氏は幼少期に聴いたグールドのバッハが原体験としてあるそうで、これまでもバッハの楽曲によるライブペインティングなども多く行ってきたとのことです。本作については、下記のインタビューのなかでも詳しく解説されていて、大変読みごたえがありました。

金子遊のこの人に聞きたい vol.8
躍動するイメージ。石田尚志とアブストラクト・アニメーションの源流
石田尚志(美術家・映像作家)インタビュー: 映画芸術
http://eigageijutsu.com/article/138450454.html

以前、フーガの技法のコンサートについての記事(松居直美「J.S.バッハ:フーガの技法」@ミューザ川崎シンフォニーホール | EPX studio blog)の後半で書いたことがありますが、この曲ってvisualization、あるいは他種の芸術で表現する際の題材としてすっごく魅力的なんですよね。難解なようでいて、部分を追っていけば必ず理解できるし、感情表現として喜怒哀楽のどれでもない。
フーガの技法ビジュアライズは、ある意味でgerubach氏による譜面スクロール動画(全曲)が決定版なので、まずはこれからですね。

続いて連想するのが、やはりStephen Malinowski氏によるMAM(Music Animation Machine)動画。これは、フーガの概念を理解する取っ掛かりとしてもとても有効で、声部が色分けされているうえに、同じ音型が図形によってグループ化されていて、おすすめです。

シンセサイザーによる同曲の演奏については、過去にこんな記事も書きました。

シンセサイザーと「フーガの技法」 | EPX studio blog
http://www.epxstudio.com/blog/2012/0102_the-art-of-fugue-on-synthesizer.html

最近見つけて笑ったのが、なんと言ってもコレです。ビール瓶でコントラプンクトゥス1。アホそうでいて、異様に手が込んでいる!クライマックスで毎回笑ってしまいます。驚くべきことに、これ2もあるんですよ。

と、あれこれとあるわけですが、もっと広義において音楽の絵画化で連想するのが、昨年観に行った蘆野ゆり子さんのカリグラフィ作品です。蘆野さんの場合は声楽曲(宗教曲)のテキストを、様々な色と書体でビジュアライズするというものですが、そのダイナミックな曲線による筆致は、石田さんの描く有機的な曲線とも似ているなあと思いました。「絵巻」のカラフルな作品群などは、まさにそうですね。

さて、展覧会の後半は、作者自身の身体の動きなどを取り入れた、より即興性の強い作品が中心となっていましたが、私の興味としては、やはりストップモーション手法による独自の渦のモチーフを極めた作品のほうが。何でもそうですが、やはりアイデンティティたるモチーフを持っている作家さんの強さは素晴らしいなと。なんだか、良い意味で、どうやっても結局はそこに戻ってきてしまうというか。

最後の展示室で観た、『部屋/形態』という作品が印象的でした。これも先のインタビュー記事のなかで詳しく触れられていますが、東大駒場寮の一室を一年間借り切って制作したという動画作品。窓から差し込む光に影響を受けたり、また逆にそれを破壊するようにウネウネと動く曲線や矩形の数々。
この作品に当てられている音楽がまた、バッハのコラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659でですね。この曲がまたほんと、作品にたまらなく合っているのです。これはあの会場でぜひ体感してみる価値はあると思います。

横浜美術館での企画展は、会期終了まであとちょうど1週間というところですが、もし機会がありましたら。

石田尚志展 | 横浜美術館
http://yokohama.art.museum/special/2014/ishidatakashi/

ニンジャ関係の活動あれこれ

漫画2015-05-14 19:05

ここのところブログ更新頻度が落ち気味だったのは、同人誌の制作をしていたからなのですが、先日のコミティア…ではなくて、今月末に開催される『ニンジャスレイヤー』オンリー即売会&交流イベント「ニンジャ万博-改善」合わせの本の制作だったのでした。既に入稿も済ませたので、イベント前ですがちょっと余裕ができました。まだあれこれとあるんだけど、気持ち的にはね。

というか、ものすごく久しぶりにオフセットの本を作りまして。その前回というのが、B2Bで宮田くんと作った初めての本(『Split EP』)なので、2004年とかですよ。さすがに10年以上もブランクがあると、まるで初めての経験と同じ。データ入稿になったし、そもそもどういう手順で進めるのか、印刷所を比較検討したり、入稿スケジュールを確認したりするみたいな基本的なところから。
納品は当日会場搬入にしてもらったので、仕上がりが分からないのが不安といえば不安だけど、なんとか形になって良かったです。一ヶ月くらいずっとかかりきりになってしまった。

でもなんか、二次創作とはいえ、こんなに漫画作りに集中した経験ってほとんどなくて、普段コミティア合わせで作っている16ページとかのコピー本に比べると、40ページがっつり描いたので。ネームを切った時点で、こんなの描いたことないけど本当に描けるのか、みたいな。あちこちで躓いたし、おそらく出来はそれなりだと思うんだけど、頑張って描いたので少なくともその分は勉強になりました。もっと早くこんなふうに取り組んでいればよかった。

すごく嬉しかったのが、制作中にニンジャスレイヤーの書籍の新刊が出たんですけども、その巻末の読者投稿コーナーにまた絵を載せてもらったことです。しかも、今まさに同人誌で取り組んでいるキャラクターで、書籍本編にも未登場のため、まず載らないだろうなと思いつつも送ったやつで。これはもう、やり遂げるしかないなと思ったよね。

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で、その即売会イベントというのが5月30日、東部東上線の大山駅というとこの近くの板橋区立グリーンホールで開催されます。詳しくは「にんぱく」さんのサイトで。

◆ニンジャ万博‐改善◆TOP
http://nin89.webcrow.jp/89/top.html

ニンジャスレイヤーといえば、ネット配信のアニメも4話まで進んで、だんだん全貌が見えてきたところ。毎週楽しんでいます。まず1話のインパクトがあって…というのは先行上映会の記事でも書きましたが、続きものの3,4話「ラスト・ガール・スタンディング」なんかを観ると、やっぱりあの尺で表現することの限界というか、インパクト重視になってしまうのは致し方ないのかなあという。

実はけっこう好きなのが、ニコニコ生放送の後番組で、あれ世間的には評判悪いみたいなんだけど、私のなかでは初回からだいぶ高評価です。MTVとかスペースシャワーを観て育った世代には、懐かしいノリというか。あの感じ、なかなか狙って出せないよ。

そうだ、で、戻るんですけど、同人誌の告知も兼ねてサークルのWebサイトを新しく作りました。いままでに散発的に描いていたイラストとか、ティアで出してた直近の同人誌の情報とか、ざーっとまとめてあります。また、同人活動用のブログもその中で始めていて、関連のありそうな話題は、こちらのブログからも転載したりしています。

鏡像フーガ:創作同人漫画サークル
http://spiegelfuge.dojin.com/

ニンジャ関係の活動はTwitterの別アカウント(@epxstudio_nj)でもやっていますので、これはと思ったかたはフォローしてみてください。そんな感じです。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015

クラシック2015-05-10 21:32

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連休の2日から4日にかけて、東京国際フォーラムでのクラシック音楽祭、LFJに行っていました。考えたら私は去年は行っていなくて、当初はさほどラインナップに期待してはいなかったんだけど、いざ有料公演プログラムが公開されたら、今年は特に聴きたいコンサートばかりでした。
開催11年目ということで、これまでのような時代や作曲家縛りのテーマではなく、「パッション」というようなユニバーサルなテーマをもとに、幅広く取り上げていく方針に変わったようです。なので、古楽のコンサートもたくさんありました。もしかしたら、09年のバッハ特集以来かもという規模で。

本当はもっと行きたかったのだけど、絞りに絞って6公演。結果的に全部バッハになってしまって、せっかくの音楽祭なのだからもっと色々聴きたかったなとか、贅沢な悩みを。チケット、単体のコンサートに比べて安いとはいえ、普通に手数料込みで5,000円超えるのとかもあって、そうそう端から買えるわけじゃないしね。
ちなみに、チケットに関しては例年通り会員向けの先行で購入しました。しかも、2月に応募した抽選が全部当たってしまったので、それを基準に日程を組む感じで。

というわけで、行ったコンサートについての感想メモです。

鈴木優人指揮、バッハ・コレギウム・ジャパン/
J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244

今年は受難節コンサートに行けなかったので、去年のミューザ川崎以来のマタイ。鈴木優人さんが、初めてBCJの合唱とオケを指揮するマタイとのことで、古楽ファンの注目も高かったのではないかと思います。
オルガンで通奏低音弾き振り。基本はすごく端正な指揮で、聴いているほうも手の動きで声部が聴き取りやすく感じるくらい。Sind Blitzeとか、ところどころでは立ち上がって激しいアクションでオケを率いていて、迫力がありました。

エヴァンゲリストのマンメルさん、どうしてもゲルト・テュルクと比べられてしまうのはかわいそうかな。ソプラノのドロテー・ミールズが素晴らしくて、Aus Liebeが本当に美しかった。休憩挟んで3時間があっという間。
鈴木優人さん、小6とかの自由研究で既にマタイ受難曲について書いてたとかで、そういう息子さんが、父の作ったオーケストラを指揮して初めてその曲を披露するというドラマチックな機会に立ち会えたのは、嬉しかったな。優人さんがいる限りBCJと日本のバッハファンは安泰という気がする。

マタン・ポラト(ピアノ)/
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

病欠で来日できなくなったシュ・シャオメイの代替公演。イスラエル出身の若手ピアニストとのことで、楽しみにしていました。が、自分の好みとはちょっと違う感じで、やはりゴルトベルク難しいんだなあというか、十人十色なのかなと。第13、15、25変奏みたいな遅い曲だけリピートありで、勢いをつけて50分で駆け抜けた。解釈の面白い箇所も無くはなかったけど、いかんせん演奏が荒削り…率直に言ってミスが多すぎて厳しかった。

ピアノのゴルトベルクってそんなに聴かないんだけど、例えばマシンのように正確無比なトリスターノとか、2周めで積極的に装飾音を足してくるシェプキンとか、何かしら際立った強みがあればおもしろいのかな。そう考えるとやはりシュ・シャオメイ聴きたかった。

ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル/
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245

2日目に行ったコンサートはこの1公演のみ。いやーこれは凄かった…。5,000席あるホールAの5列目という席で、凄いものを聴いてしまった。私これまでコルボの作品ってCDでもまったく聴いていなくて、それだけに先入観もほぼゼロの状態で臨んだのだけど、合唱の次元がまるで違うというのが素人にも一発で分かった。最初のHerr!だけで!

またエヴァンゲリストがとんでもなく上手くて、陶器のように繊細な響きでありながら太く芯の通った声で、まったく非の打ちどころなし。配布されたプログラムにソリストの名前が出ていなかったのだけど、ローザンヌ声楽器楽アンサンブル(EVL)のサイトに一覧が掲載されていて、それによると以下の通り。

Marie Jaermann, soprano
Jean-Michel Fumas, contre-tenor
Tilman Lichdi, Evangeliste, arias, tenor
Farbice Hayoz, le Christ, baryton
Manuel Rebelo, Pilate, arias, baryton

コルボさんは何とも言えないたたずまいで、足を引きずりながらも休憩なしの2時間、ほとんど椅子に腰かけずエネルギッシュに指揮をしていました。こうして聴くとヨハネはつくづく聴きどころばかりで、一瞬たりとも逃せない緊張感がありました。それが劇的に極大になってなだれ込むのがRuht wohl、続く終曲のコラールで、このくだりは感極まりっぱなしで。私はクリスチャンでも何でもないけれど、ほとんど宗教的体験のようでした。不完全な人間の営みを通して、完全な神性を、完全な音楽によって表現したのだなあ。バッハは本当に偉大だ。

終わっても拍手が鳴りやまず、数度のカーテンコールを経てオーケストラがハケたあと、再びコルボさんが現れると、観客が寄って行って大喝采という。あんなスタンディングオベーションは初めて観た。なんかこんな機会もうないかもしれないし、このコンサートを聴けたことはずっと残るだろうな。深く感動した。

バッハ・コレギウム・ジャパン/
J.S.バッハ:カンタータ「神の時こそいと良き時」 BWV106、
カンタータ「天の王よ、よくぞ来ませり」 BWV182

LFJ3日目はBCJの教会カンタータから。Actus Tragicusこと106番と182番、どちらもリコーダーが印象的な曲です。106番はめちゃくちゃカッコいいのが第2曲の合唱とソプラノの掛け合いで、「これは古き契約:人間よ、死ぬべきである!」と繰り返す呪術的な響きのある厳格なフーガに対して、「そうだ!来い!来い!」って歌う、ものすごくパンクな曲なんですよね。この日は2日前のマタイで活躍したドロテー・ミールズが再びソプラノを。

182番は第6曲のテノールのアリアで、通奏低音のチェロ懸田さんとオルガン優人さんの息の合った掛け合いが印象的でした。楽しんで演奏している感じが伝わってきた。

鈴木雅明、鈴木優人、バッハ・コレギウム・ジャパン/
J.S.バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV1061、
フーガの技法 BWV 1080よりコントゥラプンクトゥス 12a,b/13a,b、
2台のチェンバロのための協奏曲 第3番 ハ短調 BWV1062

鈴木雅明さん、優人さんの親子2代による2台チェンバロプログラム。昨年、BISからまさにこのコンビによる同曲の録音(「2台のチェンバロのための協奏曲集」)が発表されたばかり。このコンサートも、幸運にもホールCの3列目ど真ん中というありえない席で鑑賞することができ、お2人のアイコンタクトや表情が間近で見られて感激でした。

基本は雅明さんが合図を出して、優人さんとオーケストラがそれを追うような形。面白かったのが、2台のチェンバロがよくあるような向かい合わせの配置ではなく、同じ向きで並んでいたこと。前半、背中を追うようにしてやっていたのが、途中で位置を交代したために、優人さんが振り返りながら合わせていた。
それにしても、お2人とも軽々と弾くんだけど、並んでいるとやっぱり特徴というか味が全然違っていて楽しかったです。先ほどのコンサートの、死を想うシリアスなカンタータに対して、生命力とダンスにあふれた明るい協奏曲。

協奏曲の間に演奏したフーガの技法のコントラプンクトゥス12と13(a3)=鏡像フーガは、2台のチェンバロのみで正立形と倒立形を順番にやって、まさに攻守交代という試み。すごく良かった。まるっきり親子のキャッチボールを見ているようでした。

2台チェンバロ協奏曲第3番の原曲は、有名な、2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043。これも同じ音型のバトンを渡すようなコミュニケーションがすごく楽しい。やーいいですよねこの曲。2台チェンバロものはコープマンと奥さんのティニ・マトーもやっているし、家族ならではの呼吸の合いかたみたいなのはあるのかも。

鈴木秀美(チェロ)/
ガブリエリ:7つのリチェルカーレ
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011

有料公演のラストは、今年のLFJ全体で最後のプログラムでもある、秀美さんのチェロ独奏。渋い。ガブリエリの作品は、チェロという楽器の限界に挑むような実験精神にあふれていて、崩れるか崩れないかギリギリのラインを行く美しさがありました。また、バッハの5番は無伴奏のなかでも特に好きな曲なのですが、生で聴くのは初めてで感激。
チェロって、身体全体に密着させるせいか、すごく肉体的な楽器だなと思った。息遣いから考えていることのすべてまでが、音となって出力されるような、ダイナミックな魅力がある。そしてまた、音が減衰して消えていく瞬間がすごく美しい楽器なんだなあ。

アンコールは無伴奏4番のサラバンド。明るく幸せな気分になる最後の1曲でした。

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有料公演以外で

3日目は、コンサートが昼から夜遅くにかけてバラバラに取ってあったので、間がわりと空く感じになり。せっかくだし、国際フォーラム以外の会場でやっているフリーのコンサートも観てみたいってことで、東京駅をぶらぶらして、たまたま近くの地下広場でやっていたヴァイオリン、チェロ、ピアノの3人による、ピアソラをテーマにしたミニコンサートを聴いてきました。桐朋学園のOBの方々だったみたい。お客さんもたくさん集まっていて、なかなか雰囲気がよかった。

それから、国際フォーラムのホールDでは映画や講演会なんかもやっていたんだけど、夜には、2009年LFJを題材としたバッハのドキュメンタリーを観ました。コルボ&ローザンヌ、雅明さん&BCJほかのリハを含めたコンサート映像をたっぷり観て満足。この年、私まだバッハの宗教曲までは全然手が届かなくて、この公演はいずれも行けなかったので特に嬉しい。マタイを振り終えた直後の雅明さんのインタビューが面白くて、すごく興奮状態で、インタビュアーの人も合わせて純粋にバッハファンになっちゃってるのが。

今年は屋台村で買い食いも存分に出来たし、お祭りとして楽しかったな。この路線で行くなら、来年もまた参加したいなと思いました。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2015公式サイト
http://www.lfj.jp/lfj_2015/
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