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12月31日は茶箱に出演します&年の瀬あれこれ

日記2014-12-30 23:39

いつもお世話になっている早稲田の茶箱さんで行われる年越しカウントダウンパーティーに出演します。一昨年、去年に続く今回は、DJとライブのハイブリッドな感じのテクノセットで。年が明けて0:45ごろからの出番になる予定です。タイムテーブルも出てます。

茶箱新年カウントダウンパーティー | 音楽喫茶 茶箱 sabaco music&cafe
http://sabaco.jp/e/3545/

リストバンド制で入退場可とのことなので、酔い覚ましがてら茶箱から歩いてすぐの穴八幡宮への初詣もおすすめ。屋台やなんかが出て、毎年賑やかにやっています。
先の記事で紹介した、今年制作のアルバムも何枚か持って行きますので、気になる方はお声がけいただけると嬉しいです。乾杯しましょう!

ついでと言ってはなんだけど、年の瀬のあれこれ。

昨日29日はコミケ2日目へ行ってきました。数えたらなんと12年ぶり。その年はサークル参加もしているので(生まれて初めての即売会だった)、慌ただしくてあまり記憶にないのだけど、今回はばっちり体験してきた。いやあ、改めて壮絶なスケールのお祭りだった。
冷たい雨が降りしきる中、10時半すぎに着いて30分弱並び会場入り。行きたいところだけピンポイントでチェックして、実質2時間くらいの短時間滞在でした。

12年ぶりに行った理由というのが、ニンジャスレイヤーの二次創作同人誌のチェックと、次回夏コミの申込書セットの購入のためでした。次回、申し込みます。忍殺ハマりすぎてどうしても本が作りたくなったので出します。やるぞおー。

というか今まで10年以上ものあいだコミティア…創作系即売会しか参加してこなかったのは、いわゆる二次創作にまったく興味がなかったからでした。そもそもが、気に入ったアニメやなんかの作品にそこそこハマることはあっても、その作品のファンアートまで楽しみたいという心理がさっぱり分からなくて。だってそれ、作品自体や作者とは何の関係もないし、みたいな。

ところが、ニンジャスレイヤーの同人誌を買い始めて分かったのは、これはなんというか第一に「好き」の共有なんですね。作中に描かれていないものはどんなものであれもっと見たいし、その作品を好きな人がどんな作品を作るのか知りたいし、語り合える場があるならほしい。おそらくはそういうシンプルな心理に基づくもので、単に私がそこまで入れ込む作品がなかったというだけなのかもしれません。
とはいえ、今のところキルラキルの二次創作には特に関心はないので、なんというか、自分にとってはニンジャスレイヤー特有の何かがあるのだと思っています。なんだろう、補完したいバックグラウンドの果てしない広大さであるとか、そういう。

あ、で話が逸れましたが、忍殺島はジャンルコード「FC(小説)」のエリアの隅に確かにあって、にんぱくやZINの委託などでも見かけたいくつかのサークルさんが一堂に会していました。素晴らしい本がたくさんあった!数としては10サークルくらいかな?まだまだ、まったくのマイナージャンルだけれど、これが来春アニメが始まり、どこまで行くのか楽しみです。2015年はもはやニンジャなのだ。

企業ブースでは、以前イベントで配布された忍殺メンポマスクが再配布されるとのことで、時間に間に合うよう向かったんだけど、あの空間の過酷さときたら。なんか、みんな殺気立っているし進みたい方向はバラバラだしで、ただただもみくちゃにされました。しかしその甲斐あって目当ての品はゲット。ブース前でビニハ後輩のアサズケくんと偶然会ったのはびっくりしたな。

寒いのと人酔いしたのとで、独りでゆっくりしたくなって、矢向の志楽の湯へ。即売会からの温泉、実は初めてのコースかもだ。のんびりした。

30日の今日は、バタバタと大掃除。窓からブラインドからカーテンからきれいにして、ほかにも手をつけようと思ったけど時間切れ。まあ、何年かぶりで風通しが良くなったので成果は上々だ。今年も暮れていくなあ。

2014年の10枚

テクノ2014-12-30 20:38

2014

今年の10枚を選んでみました。EP、アルバムの区別なくと思ったんだけど、だいたいはアルバムです。テクノとドラムンベースごちゃまぜ。タイトルはBeatportへのリンク、YouTubeはその作品のなかからのチョイスですが消えてたらすみません(オフィシャルがあればオフィシャルの動画を)。ではどうぞ。

Adam Beyer /Selected Drumcode Works 96-00 [Drumcode]

1月に、待望のDrumcodeの旧作品選集がリマスターで出ましたね。ベイヤーのトラックでよく使うものはおおかたカバーしていて、2番とか9番とか、15、16番のA1とか、ほんとありがとうございますという感じ。20番は全曲入れてくれてもよかったのにね。カタログナンバーが「DCBACK1」となっているので、続きがあることを期待しつつ。マスターピース。

Edit Select /Phlox [Prologue]

長い綺麗なシンセパッドと、ミニマルで重く圧力のある低音部が絡み合う、Edit Selectなりのテクノ美学を追求した作品で、アルバムとしてもまとまりがあります。フロア以外では、冬とか今の時期に外を歩きながら聴くと沁みる。Dino Sabatiniとの共作トラックが白眉。何度か使いました。

SHXCXCHCXSH /Linear S Decoded [Avian]

昨年ベストに選んだ"STRGTHS"に続くAvianからのアルバム。まずタイトルがちゃんと読めるのが驚きだったけど、サウンド的にも暴力さは多少影を潜めたというか、より詩的なイメージに。さまざまなスタイルのテクノが混在しつつも、どれも既存の価値観に縛られない独創的な音作りで、期待通りでした。そろそろ来日を期待したいスウェーデンの覆面デュオ。

Cassegrain /Centres of Distraction [Prologue]

デビューアルバム。以前の印象からすると、もっと深くダビーな感じな作品かなと思っていたら、手堅い音作りでかつアグレッシブな実用4つ打ちテクノだったので買い。全曲高いレベルで甲乙つけがたいのだけど、三連符の覚醒系シンセリフがドリルのようにうねり続ける"Scythian"を初めて聴いたときは、雷に打たれたようになった。昨年東京でのライブを聞き逃したのが悔やまれる。次回作が楽しみです。

Developer /In Pure Form [Modularz]

個人的今年ベスト。リリースコメントに一言書かれた"Techno in the purest form"は伊達じゃなく、連番だけが振られた完全4つ打ちDJツール25曲(!)をひとつの作品に収録するという徹底ぶり。あるメディアでのインタビュー(Developer [Interview] - Trebuchet Magazine)によると、昨今のコンセプト・ベースな「アルバム」という概念に対して、DJが本当に全曲使えるトラックだけを収録した作品を作りたかったそうで、いまやこれ自体が極めてコンセプチュアルな試みのようにも思える。
私がBody Informレーベルでやりたいことの大半がこの作品を通して実践されていて(なんだかタイトルも似ているし)、非常に共感しました。しかも、これだけ曲数がありつつも実際に捨て曲がなく、高い水準でクオリティコントロールがなされていることが分かる。Origamiでの来日プレイも素晴らしかった。やはり自分はこういうストイックな求道者に憧れるんだな。

Slick Shoota /Keep Bussin' [Apothecary Compositions]

5月に記事にしたように(Slick Shoota | EPX studio blog)、今年初めて知ってハマったアーティスト。カッチリした音作りによる異端的フットワーク解釈というか、とにかく私の狭量なジューク観を打ち壊して、目を開かせてくれました。ここから逆説的に、本場のジューク作品も進んで聴くようになったし。まだまだいろんな音があるもんだなあ。

Ena /Binaural [Samurai Horo]

Samurai HoroはインダストリアルテクノのAnDによるドラムンベースを出したときも驚いたけど、基本的にヴァイナルオンリーのレーベルと思っていたので、こういうEnaさんの超レフトフィールドな作品集がデジタルでも出るとは意外だった(ヴァイナルと収録曲全然違うけれど)。せっかくならmp3ではなく、なにがなんでも可逆圧縮音源フォーマットで欲しいと思ったのもこれが初めて。
全作通してまったく新鮮な音体験でした。つまりただ音像が高解像度でダブっぽい空間処理がされているというのではなくて、音としては聴こえないけれど、あいだに何か細かい刻みのシーケンスが「走って」いて、それによって170bpmオーバーのダンスミュージックとして体感できる。ドラムンベースに関しては、今こういうトラックをセットのなかで上手く使えるDJに興味があります。今年は機会がなかったので、来年はEnaさん本人のDJを聴きに行きたい。

Nu:Tone /Future History [Hospital]

オールドスクールなジャングル/ドラムンベース回帰を声高に打ち出したNu:Toneの新作アルバム。Hospitalは今風のイケイケで売れ線のもやりつつ、こういうクラシックな音にもきちんと敬意を払ってくれるところがさすがだと思います。ここ2ヶ月くらい移動中にしょっちゅう聴いてる。上げすぎず下げすぎずというか、ドラムン聴きたい気分のときにバチッとツボに入ってきて気持ちいいんだ。

Clarity /Infinite [Samurai]

待望のファースト。ひたすら硬派でミニマルなドラムンベースを展開していて、期待に違わぬ出来でした。これでハタチそこそこなんでしょう?天才だね。この界隈ではDub Phizixと並んでお気に入りのアーティストです。Enaさんとの共作トラックも収録。

R-9 /Nightsenses [Body Inform]

今年作った自分のアルバムも入れました。なんだかんだありつつも、現時点での最高の自信作なのでぜひ聴いてください。Bandcampではお好きなフォーマットでダウンロード購入できます。2014年の個人的トピックとしては、Roland社で発売前のTR-8を試奏するというあり得ない機会をいただき、結果としてこういった形でアウトプットを残すことができてよかった。Developerや他の先達に倣って、来年もまた自分が作るべき音を淡々と積み重ねていこうと思います。

cdphoto

Nexus 6に機種変更

日記2014-12-26 22:40

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丸2年間使った201MことMotorola Razr Mに別れを告げるともに、ソフトバンクからワイモバイルにMNPしました。201Mは、発売翌日に速攻でレビューを書いた通り(SoftBank 201MことMotorola RAZR Mに機種変更 | EPX studio blog)、私にとっては相性バッチリの端末で、まったく不満はなかったのですが、いかんせんバッテリーがヘタってきて動作も重くなり、かつ2年を経過すると料金が跳ね上がることも分かっていたので、このタイミングで何かしらに乗り換えようとは計画していました。

そんな中、モトローラ・モビリティからNexusが出るというニュースはまさに渡りに船でした。モトローラ端末では他にも、中古で買った10.1インチタブレットXOOM(TBi11M)を自宅Wi-Fi専用として活用していて、ブランドとして信頼感があったので、(今やレノボ傘下とはいえ)せっかくならピュアGoogle環境で作られた最新Android端末を使いたいじゃないですか。余計な消せないプリインストールアプリも入ってないし!

で、懸念されるのはやっぱり6インチという大きさでした。Nexus 7は使っているし、イメージはできるけれど、実感としてそのサイズ感でいいのかどうかというのは正直自信がなかった。ただ、何人かにiPhone 6 Plusを見せてもらったり、あるいはNexus 6の店頭モックを触ったりするなかで、割と大丈夫かもというか、むしろ今までの4インチクラスのスマートフォンが狭すぎたのではという気がしてきました。

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ってことで、善は急げでさっそく。機種はダークブルー32GBで、契約は月間データ通信量1GBのスマホプランS、費用としては月々7,000円ちょっとのイメージです。ワイモバがソフトバンク系列のため割引が適用されなかったのですが、本来au/ドコモなどからのMNPはここから更に月々1,000円ほど安くなるようです。Nexus 6の本体価格の高さが取り沙汰されていたけれど、そういう意味では他のキャリアのそこそこの端末より全然安いよね。

201Mとのサイズ比較は上の写真の通り。どちらも設定でディスプレイ輝度最大にしてあるので、N6のほうがだいぶ明るいことが分かる。ちなみに、一部レビューで輝度最低の設定のときに画面が赤みがかって見えるという報告がありましたが、私の場合は特にそういう印象はないです。自分も目が悪いので、液晶関係は常に輝度を最低にして使うほうだけど、別段おかしな感じでは全然ないですよ。個体差なのかなんなのか。

持ちやすいかどうかは人によって違うと思うので、興味がある方は店頭のモックを触ってほしいのですが、片手で操作できないことはないです。とりわけAndroidは操作系が画面下部に集中しているので、左上に戻るボタンがあるiOSよりは重心的には安定しています。ただまあ、特に文字入力のときなんかは両手持ちのほうがはるかに良くて(左手持ちだとエンターキーに親指が届きにくい)、私の場合はいっそフリックよりもQWERTY配列のほうが速い感じです。

処理の速さに関してはまったく言うことなくて、あらゆる操作に対してキビキビ反応します。Wi-Fiの掴みもすごくいい。あ、スマホプランSにしたのは、私がWi-Fi運用が主のためにほとんど月1GB超えないからですが、どうなんでしょ、近ごろみんな1GBくらいは余裕で超えちゃうのかな。

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でせっかく画面が大きいので、kindleアプリでマンガを2p見開き表示してみたらこんな感じ。文字が潰れて読めないみたいなことはなくて、全然読めます。なら常に横持ち見開きで読むかというと、一定のサイズ感による絵の力というのも確実にあるので、分からないけれど。
それから、固定レイアウトの技術書系を表示してみるとこんな感じです。これは4.3インチの201Mではまったく読む気にならなくてタブレットを使っていたのですが、これならいけますね。

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なんにせよ、本当の使用感は何か月か使ってみないと分からないけれど、初日の感想はこんな感じで、概ねいいです。いいというか最高です。

なお、MNPなので電話番号など特に変更ありません>各位。メールアドレスも独自ドメイン運用なので変わらずです。よろしくお願いいたします。

『ベイマックス』を観た

日記2014-12-22 18:24

ネタバレなしレビューです。絵で魅せる王道ヒーローものなので、ネタバレがあったからなんだって話ですが、いちおう避けたほうが楽しめるかなという気はします。

『シュガー・ラッシュ(Wreck-It Ralph)』のスタッフが手がけているとか、コンセプトデザインにコヤマシゲトさんが関わっていると聞いてから興味はあって、先日観たNHKのジョン・ラセターの特番も面白かったので、公開したら観に行こうと思っていました。

ところが、いざ劇場を調べてみたら、近所の映画館は吹き替え版ばかりで…。シュガー・ラッシュのときの翻訳があんまりの出来で、できれば原語のニュアンスをそのまま楽しみたかったので字幕版が良かったのだけど、仕方ない。おまけに、アナ雪で味をしめたのか日本版エンディングテーマみたいなのもあって、これがどう考えても原作に敬意を払っていない選曲で、それが字幕版でも回避できないと聞いてげんなりしました。ただ、完成された作品をそのままの状態で届けてくれればいいのにね。どうにかならないものか。

ともかく観てみて、おもしろかったです。この手のヒーローものとして100点満点の作品でした。というのは、詳しくは書かないけど、展開や見せかたにおいて、そうそう!そうだよねというポイントを確実に拾ってくるようなところがあって、めちゃくちゃ「優等生」なのです。お話もいい密度でぐんぐん進むし、伏線の回収もスマートで。NHKのドキュメンタリーで観た通り、ああいう徹底して民主的なシナリオ打ち合わせで練り上げたストーリーが、こういう形で結実するのは納得です。

100点満点というのは、その意味で、中華料理を食べに行ったら美味しい中華が出てきましたみたいな感じです。フランス料理を食べたい人の口には合わないと思うし、あるいは、見たことも聞いたこともないような斬新な中華を求めている人には全然かも。私のなかで、パシリムとかシュガー・ラッシュは100点満点中12,000点くらいだったんですけど、ベイマックスは100点です。というか同じ評価軸に並べちゃいけないのかな。

思ったのは、この作品は記号の再生産でしかないのかもしれないけれど、たぶんメインターゲットである子供たちのことを考えると、時代性に合わせたアップデートというのは絶対に必要で、いつの時代にもこういう100点の作品がちゃんとあるのは素晴らしいなと。僕らにとっては、あの作品だったりあの作品だったりというのがあって、今の子供たちにとってはそれがベイマックスなのかなあ、みたいな。

ところで原題の"Big Hero 6"に対する邦題の『ベイマックス』ですが、今回に限っては、これでも不正確というほどではないかも。戦隊ヒーロー群像劇というよりは、明らかにヒロとベイマックスの関係性にフォーカスしたお話だし。ただなんか、登場人物のキャラがみんなすごく立っていて、彼らをテーマにした連作をもっと読むなり観るなりしたいし(たとえばワサビが主人公の回とかね)、そのときはビッグヒーロー6かなあ。
エンドクレジットにコミック風の静止画が採用されていて、その絵のタッチが超かわいかったです。あれで新作が読みたい!

同時上映の『愛犬とごちそう(Feast)』は、犬のオーバーな仕草や裏で展開するドラマが面白かったけれど、個人的には『紙ひこうき(Paperman)』のほうがずっと良かったな。

ちなみに日本版EDソングはエンドクレジットのあとのスタッフロールで始まるので、速攻で席を立って、聴かずに事無きを得ました。映画で最後に聴く曲って余韻に響いてくるし、すっごく大事だよね…。エンドクレジットの曲がまたカッコイイんだ。

Roland 7X7-TR8

テクノ2014-12-19 23:07

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Roland TR-8の待望の音色追加アップデートということで、発売日の今日、仕事が片付いてから即購入してインストールしてみました。「7X7-TR8」はドラムマシンエクスパンションという位置づけの製品で、TR-8に対してTR-707、TR-727の音色や、追加の音色と機能が加えられる有料アップデート・ソフトウェアです。詳しくは製品ページで。

7X7-TR8 :: 製品 :: ローランド
http://www.roland.co.jp/products/jp/7X7-TR8/

楽器店でも購入できるようですが、ローランドのソフトウェア専用オンラインストア「Roland Content Store」からでもダウンロード購入できます。現時点では決済はPayPalかWebMoneyのみ。いずれにしてもアクティベーション時にここのアカウントを使用するので(Facebookアカウントによるログインも可能)、別途PCとネットワーク環境は必要になります。

アップデートの手順はさほど複雑ではなくて、購入後画面からダウンロードした36MBほどのzipファイルを解凍して、インストーラの実行ファイルを起動して手順に従うだけ。あ、事前にTR-8の最新版(v1.11)へのアップデートと、PCへのTR-8ドライバーインストールは済ませておく必要があるようです。
途中でアクティベーションを促されます。1ライセンスにつき1台のTR-8へのアップデート適用が可能で、つまりは複数台のTR-8がある場合は、7X7-TR8も台数分必要になるわけですね。
でなんか、通常のアップデート手順と違って、手動によるファイルコピーもいらなくて、TR-8側でも進捗表示とかもなくて、あれ終わったのかな?みたいな感じでしたが、再起動してみたらTEMPOインジケータに「707」の表示!いつのまにか完了していました。

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ひと通り触ってみて、これは一気にできることの幅が広がったなあと感じました。808/909でちょうど不足していた、中域のチャカポコしたパーカッションが補強されて、リズム隊として厚みのあるシーケンス作りができるように。
707/727は私は実機を触ったことがないので比較できません。808/909系で追加された音色では、909 AttackBDがチュンチュンしたアタック成分が強調されている感じで、このクセもATTACKつまみで目立たない程度に調整できて、使いどころが多そうな感じです。

同梱のPDFマニュアルもカラフルに改訂されていて、v1.1以降で追加された機能(インストごとのゲイン調整などなど)については赤字で表記されています。チョー分かりやすい。

あれこれ試してみないと覚えられないかなと思ったのは、今回707/727の導入に伴って加わったオルタネート音色(サブ音色)で、これは弱音の扱いと同じく、16ステップの同じインスト内で排他的に共存させられるので、適当に叩いたら予想外の効果が得られたり、結果としてかなり音数多く感じる派手なループも作れそうです。ボタンを押しながらとか、若干複雑な操作にはなるものの、リアルタイム(INST-REC)でもベタ打ち(TR-REC)でも打ち込めます。このへんは使い倒して身体で覚える系ですね。
フラムも、アイデアによってはショートディレイのような使いかたで、さらにディレイ/リバーブと組み合わせると、厚みのあるパーカッションを作れそうです。私の場合は、今まではこういう系はESX-1で組んで薄く重ねたりということが多かったので、TR-8だけできるとなると工夫のしがいがあります。

あと、地味に困っていたのが、プレイ中に誤ってSCALEボタンを押してしまうことだったのですが、予め設定で防ぐことができるようになりました。SCALEを押しながらTEMPOつまみを動かすことでしかスケール変更が効かなくなるので、ちょっと触ってドタるおそれがなくなります。助かる…。

実質の有料アップデートが9,720円という価格が、高いのか安いのかは分からないけれど、私は全然納得だしむしろこれでもう1台(ともう1ライセンス)分TR-8が欲しくなるくらい、魅力がアップしました。製品詳細ページで「ローランド歴代最高のドラムマシン」を標榜するだけのことはある。
ただ、パッドの表示がカラフルになって視覚的に分かりやすくなったとはいえ、操作は確実に複雑になる(パネル上に表示されていない、何か押しながらなんとか、みたいな機能が増える)ので、本当の意味で使いこなせるようになるには…というか頭で考える前に手が動くようになるまでには、ある程度時間がかかりそうです。

個人的に来年は、普通のCDJによるDJセットにプラスアルファでTR-8を使うスタイルをデフォルトにしたいと思っていて、そういう用途でも音色のバリエーションが増えたことはかなり助かります。日々練習だー。

Developer@Origami

テクノ2014-12-15 22:56

先週12日金曜日、Developerが初来日と聞いて表参道オリガミのパーティー「Tension」に遊びに行ってきました。後日今年出たアルバムのまとめ記事でも書く予定ですが、Developerは今年、25曲入りで全部ツールトラックというDJにとっては武器庫のようなアルバム"In Pure Form"(SoundCloud)を自身のレーベルModularzからリリースしています。これが本当に良くて、本人がDJのなかでどういう使いかたをするのか、また曲自体がどういう箱鳴りをするのかにすごく興味があって、楽しみにしていました。

パーティーに先んじて木曜日にDommuneへのDJ出演があり、そちらもYouTube経由で観ました。アナログ2デッキでそこそこ堅実なミックスで、取り立ててテクニックがすごいとかではないけれども選曲が良くて。アタマのピッチ合わせのときのピチコンの操作が特徴的で(小刻みに上下させる)そこだけちょっと面白かった。

ところがパーティーではまったく違って、PCDJによるセット。ものすごい高密度のハードミニマルでした。おそらくTracktor4デッキで、X1かなにかのコントローラーを2台使っていたっぽい。まさしくModularzスタイルの荒々しくもシンプルな16分シーケンスが、常にレイヤー状に複雑に重なって展開するという、言ってみれば昔気質のテクノDJで、超ツボでした。ずーっと縦ノリで延々と踊った。
In Pure Formからも6~7曲くらいは使っていたのかな。やはりフロアで聴くと強力なトラックばかりで、改めてがっつり聴き込みたくなりました。序盤ですごく好きな3番を使ってくれたのがうれしい。アルバム通して、というかModularzのリリースを通して高度にクオリティコントロールされているのを聴いていて、これはDJも只者じゃないと見込んでましたが本当にその通り。Developer Archiveの音源もデジタルリリースしないかなあ。

オリガミ、初めてだったけど居心地良かった。表参道交差点のあんな一等地にあるのね。音も小箱としては理想的で、暗いフロアにスモーク多め、3時台スタートのDeveloperのときはかなりいい感じに出来上がっているというかなんか。ひたすら音に潜っていく感じで黙々と踊りましたね。友人知人系以外では今年そんなにパーティー行けてないけれど、ベストと言っていいくらい良かった。

テクノの良さを語り継ぐのに、1990年代後半とかの商業的な全盛期が例に出されることはままあって、私もつい比較してしまうんですが、Developerなんかのモダンなテクノでバキバキのセットを体験すると、むしろあのスタイルのテクノの成熟期、完成形はまさに今だと感じます。今テクノめちゃくちゃ面白いですよ。

最近観た映画から(2014年11月~12月)

日記2014-12-10 21:35

また空いた時間にDVDをいくつか観たので、前回同様、感想をメモっておきます。映画の感想は、最近の記事はだいたい「映画」タグをつけてます。

『JM(Johnny Mnemonic)』

「ニンジャスレイヤー」のSF元ネタ必修作品ということで観ました。一般的な映画レビューではいまひとつの評価のようだけど、私はこれ超おもしろかった。暗黒メガコーポ、知性イルカ、非合法ローテク電波ジャック組織。主人公がたかだか320GBのデータを脳に入れられて死にそうになっているのも、オールドスクールな電脳世界のCG描写も、今となってはひとまわりしてクール。"I want room serviiiice!"だけはアホっぽくて笑ってしまったけれど。
これ観たあと忍殺の「レプリカ・ミッシング・リンク」を読み直したんだけど、最終ステージの描写がまんまこれと同じでしたね。知性イルカが知性マグロなだけで!ウィリアム・ギブスンの原作小説も読みたくなりました。

『インセプション(Inception)』

『インターステラー』を観るにあたり、クリストファー・ノーラン作品を予習しようと思っていくつか借りてみました。まずは本作、すごくおもしろかった。予備知識ゼロで観始めて、序盤さっぱり理解できなくて自分がおかしいのかと思ったけれど、ちゃんと分かるようになる構成になっていて。最後は圧倒的な仕掛けで収束していく物語、ある種予定調和的に終わるのかと思いきや、うわーと叫びたくなるような鮮やかなラストカットで興奮しました。コマがふらふら揺れるというだけで、あんなに複雑な情報を表現するとは。
DVDのボーナスコンテンツに、作中のイベントを時系列で整理した、監督直筆のインフォグラフィック的なメモがあって、頭の良い人の世界を覗き見たような感じ。

『ダークナイト(The Dark Knight)』

で劇場で公開3日目に『インターステラー』を観たあと、これを観ました。が、私がバットマンにほとんど馴染みがないということと、3部作の2作目をいきなり観たということを差し引いても、いまひとつハマれなくてですね。映像として見せたいもののために登場人物が動いている、みたいなのがアベコベで(道理にフタをしてひたすら無理を通す感じ)、キャラクターの動機に感情移入できなかった。主人公とライバルが取り合ってるヒロインに全然魅力がないし。3時間がほんと長くて。ただ、ジョーカー役のヒース・レジャーの演技の凄味は素人にも分かって、他の出演作にも興味を持ちました。

『メメント(Memento)』

さらにノーラン監督作品を遡って、00年の作品。これはおもしろかったです。近作のような娯楽に振り切った作品ではなく、記憶をテーマにした地味で実験的なスリラー。特徴的なのが、断片化されたシーンを時系列に遡って辿っていくことで真実に迫っていくという手法なんだけど、冒頭をまず逆再生の映像から始めることで暗に「ルール」を提示するところが上手いなあと。時間の逆行は、まず前のシーンの始点と終点を覚えてなければ話が繋がらないので、主人公ばかりでなく観客の記憶力も試される感じで。そのうえ、登場人物がウソつきだらけという。
カタルシスがないかというとそうでもなく、最後のほうのヤマ場ではちゃんとplot twistもあって、この仕掛けをこうやって使ってくるのかみたいな。おそらく、作りようによってはもっと分かりやすいように作れたとも思うんだけど、十分に楽しめた。このスケールの映像媒体でしか表現できないことをやっていて、アートとして魅力を感じました。

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』

先月公開されて話題になっているアニメーション映画。先に水島精二監督と脚本の虚淵玄さんへのインタビュー記事(水島精二監督×脚本・虚淵玄『楽園追放』インタビュー前編 「なぜ楽園なのか?を考えて欲しい」 | アニメ!アニメ!)を読んで気になっていたところ、思わぬ機会があって意外と早いうちに観ることができました。
これ、絵柄などから言ってもある種の免疫がある層に向けた作品であるとはいえ、SFの定番モチーフをコンパクトにまとめた快作で、私はすごく好きです。旧人類、進化した人類、進化したAIの三者が対峙する構図は、虚淵さんの『翠星のガルガンティア』とまったく同じなんだけど、それよりもエッセンスが濃縮されて、言いたいことだけがズバッと表現されていました。

ストーリー的には、中盤くらいまでに何となく落としどころが見えてきてしまって、「まどマギ」なんかを経験している以上、もうひと捻りあってもいいなとは思いつつも、映像的な見せ場もきちんとあって、最後の余韻もあって。タイトルもいいよね。
セルルックの3DCGアニメーションに関しては、まだ手描きに及ばないとはいえ、観ていて違和感のようなものは全然なく、アメリカのアニメ映画とは違う独自の進化の途上にあるんだなあと感じました。

ワンダースワン音源エミュレーターで聴くロマサガ1

ゲーム2014-12-06 14:47

昔気になっていたことを急に思い出して調べたりすることがあるんですけども、この前ワンダースワンの音楽、特にスクウェアが移植した『ロマンシング サ・ガ(以下ロマサガ1)』や『魔界塔士サ・ガ』、それに伊藤賢治さんがスクウェア所属時代最後の作品として書き下ろした『ワイルドカード』のBGMがどうしても聴きたくなってWebを徘徊していたら、やっぱりあるんですねWinamp用のプラグインが。何年か前に探したときは見当たらなくて、こんな記事(「幻のワンダースワン「ワイルドカード」サントラ | EPX studio blog」)とかも書いてサントラ化を熱望したりしていたものですが、どうも探しかたがあれだったのか、06年時点で既にあったみたい。しかも、nsfとかspcとか音源エミュ界隈では超老舗サイトのZophar's Domainに…!

あまり手順を詳細に書くのもどうかと思いますが、どう考えてもサントラ化が限りなく望み薄な今、もはやという感じでメモ書き程度に書いておきます。

wsr plugin for winamp - Bandai Wonderswan WSR Utility in Audio Players Category - Zophar's Domain
http://www.zophar.net/utilities/wsr/wsr-plugin-for-winamp.html

ここからWinampプラグインをダウンロードして、「in_wsr.dll」をWinampインストールフォルダ直下のPluginsフォルダにコピー。音楽ファイルはwsrというフォーマットで、これ自体でも再生できるものの、楽曲がいわゆる生データのままでバラバラなので、大概同梱されているm3uなどのプレイリスト形式ファイルを再生する形になります。wsrファイルはここ(WonderSwan Music - Zophar's Domain)に。Wikipediaによると、ワンダースワン/ワンダースワンカラーで実際に出たタイトルは198作品のようなので、うち167作品を網羅しているということは、なんというか、ほぼほぼココにあります。

さて、ワンダースワン(以下WS)の音源の何がそんなにいいかというと、いわゆるチップチューン的な純粋な「ピコピコ音」が鳴る最後の世代のゲーム機なんですよね。例えば、少し遅れて出たゲームポーイアドバンスでは同時発音数も多く、うち2チャンネルとはいえPCM(サンプリング音源)もばりばり鳴るので、WSよりもかなりリッチな音の印象がある。で、世代的にはDS以降はもうどんな小型のデバイスでもリアルな音が出るのが当たり前になってしまって、スマートフォンなんかにしたってそうだし、ケータイでFM音源が鳴っていたのも今は昔。

WSは、仕様を見ると波形メモリ音源が4音のステレオで、うち1チャンネルをPCMに切り替えることができるとある。ものすごく単純にいうとファミコン、ゲームボーイの3音に対しての4音。しかも発売が1999年なので、PCM全開のスーパーファミコンやプレイステーションよりもずっと後で、そうするとどういうことが起こるかというと、スーパーファミコンからの移植作品(例えばロマサガ1や『ファイナルファンタジー4』)においては、まるで時代を遡るかのような「公式による8ビットアレンジ」が生まれるわけです。

特にWS版ロマサガ1の場合、正式なクレジットが見当たらないので不正確かもしれませんが、おそらくオリジナルの作曲者の伊藤賢治さん本人が手がけられていて、1曲だけ書き下ろしもあります。後に関戸剛さんの編曲でミンストレルソングに収録されるシェラハ戦の曲がそれ。上記の有志によるwsrファイルでは、プレイリストがオリジナルのサントラ通りの曲順に並べられており、シェラハ戦は最後に収録されています。

で聴いてみて、これがすごいんですよ!原曲のイメージをまったく損なわず、エッセンスが過不足なく4音に集約されているという夢の8bitアレンジなのでした。ゲームボーイと同様、携帯機であることを踏まえた極端なステレオパンニングの技法も盛り込まれている。これ実際にMIDIデータを耳コピしたことがある人は分かると思うんですけど、単にシンセを矩形波にすればそれっぽく聞こえるかというと全然そんな簡単なことではなくて、元の楽器の音域がぶつかることもあるし、かえって不自然になることも多々ある。それで変に手を加えて原曲のイメージが崩れてしまったり…、そういう破綻がなく、普通にかっこいいのです。

『ワイルドカード』でもそれが極まっていて、ゲームボーイのサ・ガシリーズ(1と2)や『聖剣伝説』で3音に濃縮されていたイトケン音楽が、スーファミやプレステを経て、ふたたび「ピコピコ」に帰ってきたといえる充実ぶりで、初めて全曲を聴いて大感激しました。そして思うのは、やはりこれはなんとかして公式でサントラ化してほしいなあということ。

WSで出た他の移植作品としてはFF1、FF2、FF4、それにGBサガ1があって、いずれも上記のサイトにwsrファイルがあります。それぞれに聴きごたえがあるので、原曲と聴き比べてみるのも楽しいかもしれません。

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