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「ファイブリア」シリーズを読み返す

日記2014-10-31 01:04

先日、友野詳さんの小説『ルナル・サーガ』と『コクーン・ワールド』(ともに角川スニーカー文庫)の新装版が間もなく発売になるというのを知りました。しかも両作品とも、初のオーディオドラマCD化の企画もあるとかで、まさかの朗報!あれですね、30代になると、中高生のころに憧れた作品が意外な形で帰って来てくれるケースが増えるもので、それというのも同世代の読者が出版社なりなんなりの企画側に回るからなんでしょうね(去年の『グルグル』展とかも)。いやー30代楽しすぎる。大人になって良かった。

[スニーカー文庫が誇る、友野 詳2大ファンタジーが復活!!]
http://www.sneakerbunko.jp/special/cocoon-runal/index.php

いわゆるライトノベルのはしりとも言えるこの時代の作品、つまり、90年代前半以降に出た少年向けファンタジー小説からは、他のマンガやゲーム作品と並んで多くの影響を受けました。私は当時中学生。きっかけは、やはり多くの同世代が経験しているであろう『ロードス島戦記』で、同じ水野良さんの『クリスタニア』にハマりつつ、並行して友野さんの『ティルト・ワールド』、そこからシリーズを遡って『コクーン』、そして『ルナル』と読んでいったのを覚えています。

特に、『コクーン』『ティルト』『アビス』各3巻に加えて総集編1巻の計10巻からなる「ファイブリア」(冒険者)シリーズが大好きでした。というか新装版の発売を待つまでもなく、部屋の押し入れに全巻揃っていて、すごく読み返したくなってしまったので、本当に10何年かぶりに通して読みました。そしたらやっぱり面白かった。あーあったこれこのシーン!みたいにして、埋められたタイムカプセルを順に開いていくような感じでした。

ファイブリアシリーズの特徴は、コメディータッチのくだけた文体で、何でもアリの剣と魔法のファンタジー世界での多彩なキャラクターによる活劇を、冒険小説として描いていることです。TRPGが下敷きになっているとあって、基本は『ロードス島』などを含む同じグループSNEによるソード・ワールドのパロディによって構成されています。舞台となる世界がフォーセリア→ファイブリアだとか、アレクラスト大陸→アレクファースト大陸だとか、そういう小ネタが無数に。でいて、古いマンガとかアニメのパロもたくさんあったりで、中学生当時は分からなかったネタに今気づいたりというのも。

しかし何と言っても魅力なのは、幅の広いキャラクター描写なのです。本作は、決まった主人公のない群像劇で、出番の多い少ないの差はあれど、最終的には総勢16人1組のキャラクター+αが登場します。しかもそれぞれがまったく違う方向に強烈な個性を持っている。彼らはそれぞれに別々の冒険をして、最終巻でついに一同に会するのですが、そこで組み合わせがシャッフルされてもいっこうに破綻がなく、みんなが活き活きとしている。
イラストレーターの弘司さんによる表紙と口絵がまた良くて、ふわっとしたやわらかいタッチで鋭くキャラの特徴を掴んでいて、ちょっとした仕草や表情で、見事に描き分けられているんですよね。

ファイブリアシリーズは、各3巻からなる独立した3部作と、最終巻となる『かくも偉大な冒険者』からなり、1992年から97年にわたって刊行されました。せっかく全部読み返したので、簡単に各巻の感想などを書いておこうと思います。

コクーン・ワールド

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地上を旅する6人の冒険者が、あるきっかけで未知の地底世界に引きずり込まれてしまい、地上への出口を求めて旅するというお話。地底で出会った人々との数奇な因縁によって、最終的に6人はそれぞれに地上へ戻るか戻らないかの決断を迫られるわけですが、そこはそれ、シリアスになりすぎず、あっけらかんと描かれます。そこにかえって不思議な余韻があったり。ラストに示される、この物語全体の語り手の正体というのが、またひと仕掛けあって面白いんだ。

今回出る新装版も、やはりこの『コクーン』からのスタートで、第1巻にあたる『黄昏に踊る冒険者』が11月1日、以下(売れ行き次第で?)続刊ということのようです。

ティルト・ワールド

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あることを理由に「傾いて」しまった世界を元に戻すため、組み合わせも新たな6人の冒険者たちが奮闘するというお話。傾いてというのは物理的に一方にナナメってしまったという意味で、いずれ明かされるその理由というのも、ちょっとおかしな方向に振り切れたもので笑えます。
と思いきや、2巻のラストではまさかという驚きのシリアス展開もあって、そこからは予想を超えたスケールの大オチに向かって突き進んで行く。『コクーン』から続けて出ている、草原妖精のピコという大人子供のようなキャラがいて、こいつが物語を徹底的に引っ掻き回すわけですが、それがそこに繋がるんだみたいな伏線回収もあったりで。一方で、ふざけてばかりのピコが作中で2回だけ見せる本気のシーンの印象深さといったら。

そうそう、『ティルト』の特徴として「語り」の主観が章ごとに違い、さまざまな登場人物の一人称視点として綴られるという点があります。それが人だけではなくて、使い魔のカラスだったり、ペットのネズミだったりするのが面白くて、それらを通してキャラの関係性が立体的に示されるのです。

アビス・ワールド

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『コクーン』で地底世界に残った数人と、その子供たちなど新しいキャラを加えた6人による冒険。地底の底に空いた大穴へ飛び込むと、そこは8つに分かれた魔界で、あることを理由に暗黒の神々が争っていたというお話です。夫婦、親子など家族をモチーフにしたシーンはシリーズ中何度も出てくるけれど、この『アビス』では、ナルとルチルの兄妹を中心として、そのテーマが色濃く表れている(もちろん、細かいギャグを散りばめつつ)。
3巻ではコミケをネタにした「八層地獄」という世界が出てきます。これ、読んだ当時は同人誌即売会の世界をまったく知らなかったので分からなかったけど、今読むといちいち小ネタが笑える。あと本作では、シリーズを通して相当にアクの強いキャラ、タリアの無茶苦茶さが際立っていて、しかも最後に意外な形で理由づけされていて楽しいです。

そして、全3部の最終作『かくも偉大な冒険者』。シリーズファン向けのカーテンコールにしてはボリュームありすぎるでしょという内容で、今までのキャラ同士による真新しい掛け合いがひたすら面白い。筋書きとしても、何でもありの世界とはいえそこまでやるかというはっちゃけかたで、どう収集つけるのかと思いきや、最後の最後のたった1文で、ものすごく納得できるオチがつく。鮮やか!

ファイブリアシリーズについては、以前も著者の友野詳さん自らTwitterで昔語りをされていたりとか、今回の新装版にあたってもインタビューに答えられていたりしています。新装版にドラマCD、楽しみですね。

友野詳さんが語るコクーンワールドの思い出話 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/455909
Group SNE | ユーザーコンテンツ | 著者インタビュー
http://www.groupsne.co.jp/user/interview/2014/10/01.html

Boomkatを利用してみて

テクノ2014-10-30 16:20

これまで、DJ用の曲は主にBeatportで購入していました。たまにBandcamp、以前はJuno DownloadやTrackitdownを利用していたけれど、利便性や品ぞろえなんかを考慮すると、どうしてもBeatportに寄っていってしまう。月曜の夜の新譜チェックもそれなりに楽しいしね。

そんななか、ぼちぼち音源はmp3ではなくロスレスフォーマットで揃えたいと思い始めるようになりました。現状、320kbpsのmp3に関して特段の不満があるというわけではないのだけど、既にロスレス音源のみでDJをしているwatさんやSangoさんたちの話も聞きつつ、どうもいいかげん不可逆圧縮の時代は終わるんだろうなあと。
たとえ聴いて明確な違いが分からなかったとしても、いい音で聴けるならそれに越したことはないし、市場の近くに住んでいるのに、わざわざ冷凍の魚を買ってきて解凍して食べるってことはないわけですよ。

ただ、Beatportを利用する限り、WAVフォーマットってお高いんでしょうというイメージがある。なおかつ、クーポンのタイミングや新譜が旧譜になる値下げのタイミング、Bandcampを持っているレーベルならそちらとの価格差、さらに日本円とUSDの為替レート…という諸々の比較検討が、もうつくづく面倒で。Beatportほどとは言わないけれど、そこそこ品揃えが充実していて、価格が安定して安いショップがあるのなら、基本はそこでずっと買いたい。
私が買っているようなジャンルの場合、「Boomkat」がそれに当てはまりました。名前は聞いていたけど、今まで実際に利用したことはなかったので、ひと通り使ってみた感想なんかを書いておきます。

Boomkat - Your independent music specialist
http://boomkat.com/

Boomkatは英マンチェスターを拠点とするレコードストアで、ジャンル的にはクラブミュージック全般を幅広く扱いつつも、レーベルはある程度厳選したセレクトショップ的な側面が特徴のよう。
ダウンロード音源のフォーマットはmp3とFLACがあって、価格差もさほどではなく、例えば1曲0.99英ポンド(GBP)に対して1.10GBP、今だと173円に対して192円というところ。アルバムの標準的な価格は、新譜/旧譜を問わずFLACならだいたい7.99GBPのようで、これだったら多くの場合でBeatportよりもかなり割安になるんじゃないでしょうか。念のため、Juno DownloadやBandcamp、Hardwax、Bleepとも比べてみたところ、ほとんどのケースで安定してBoomkatのほうが安い。これならもう迷わなくて済むのかも。

試聴なんかの基本機能もひと通りある。特徴としては、どの曲も共通してイントロから2分間の再生なのと、30秒ごとにコピー防止のビープ音(220Hzのサイン波)が入るということ。前者の試聴範囲については、私はDJユースとしてはBeatportの場合よりも理に適っていると思うし、気に入りました。

Hold Binに代わる機能としてはWishlistがあって、これはトラック単位ではなくリリース単位で登録できるもののようです。もちろん要アカウント。気になるアーティストやレーベル縛りでのフォロー機能みたいなものはなさそうなので、各自でチェックするしかないのかな。

決済は普通にクレジットカード各種に加えてPayPalも選べます。ただし、後者の場合PayPal Surchargeというのがあって、小計に対して一定の金額、たとえば7.99GBPのアルバム1枚であれば0.47GBPが追加で加算されます。これは一度のチェックアウトが大きいほど割安のようなので、クレジットカードセキュリティ等の懸念からPayPalを選択する場合は、ある程度まとめ買いにしたほうがお得のようです。

決済が完了すると、アカウントページのDownloadsタブにリリースが追加され、アルバムならzipでまとめてダウンロードできます。ダウンロード速度は300-400kbpsとかなので気長に。Beatportのようにダウンロード期限などはないようで、その点は安心感はあります。

という感じでBoomkat、特にストレスなく使えたので、今後ここで買えるものに関してはここで買って行こうかな。何はともあれ、品揃えのチョイスが合うかどうかだと思うので、まずはレーベルやアーティストで検索してみるのがいいと思います。

M3-2014秋、ありがとうございました

活動2014-10-27 14:25

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Body Informのブースで新譜をご購入いただいたみなさま、どうもありがとうございました。おかげさまで、当初の想定を大きく上回るたくさんの方に買っていただけて、いろいろな意味で次に繋がる結果となりました。朝早くから車を出してくれたizさん、DJ明けでお疲れのところ手伝っていただいたwatさんにも大感謝です。お疲れさまでした。

新譜は、昨日からBandcampでのダウンロード販売を開始しています。

Nightsenses | Body Inform
https://bodyinform.bandcamp.com/album/nightsenses

いちおう馴染みのない方へ説明させていただくと、BandcampはクレジットカードやPayPalで決済ができるデジタルミュージックストアです。一度購入した楽曲は、期限や回数の制限なくダウンロードできて、そのたびにファイル形式としてmp3や、より高音質なFLACなどを選択することができます。また、購入前に全曲を高音質でフル試聴できたりといった特徴もあります。
近日中に同じページで、数量限定でCD版の通信販売も始めます。

M3に関しては、次回の春はとりあえず一度パスする予定ですが、来年以降もパーティーと並行してマイペースに続けていこうと思います。プレスCD、安くなったとはいえ手間もかかるしおいそれとは作れないので、1年に1度くらいのペースかなあ。買う側としても、あまりハイペースでも困るし、作り手には厳選したものを作ってほしいという感じもある。
本当、あれだけたくさんのサークルがあり、それぞれに力作が揃っているなかで、BIの作品を選んでいただいた方へは重ねてお礼を言いたいです。どうもありがとうございます!

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イベント後は、城南島海浜公園で飛行機を見てひと休みしつつ、銀座の矢場とんへ連れて行ってもらいました。一日楽しかった!

M3でアルバム「Nightsenses」を発表します

活動2014-10-24 20:41

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今度の日曜日、東京流通センター(TRC)で開催されるマルチメディア系同人即売会「M3-2014秋」に、Body Informレーベルとして参加します。新譜として、度々告知している通り、R-9名義の1年半ぶりのソロアルバム「Nightsenses」を用意しました。このブログでは以前の記事でも制作過程などを書いていますので、もしご興味のあるかたはこちらも。

アルバム制作過程のメモ | EPX studio blog
http://www.epxstudio.com/blog/2014/0916_making-of-the-3rd-bi-album.html
M3アルバム曲のPVを制作しました | EPX studio blog
http://www.epxstudio.com/blog/2014/1006_making-of-nexus-video.html

プレスCDもジャケットもスケジュール通り上がってきまして、あとは当日を待つばかりとなりました。今回は、Bandcampでのダウンロード販売&CDの通販も同日26日にスタートする予定ですので、遠方にお住まいなどでM3にお越しいただけない方も、どうぞよろしくお願いいたします。

せっかくなので、新譜の内容についても少し解説します。

ライナーノーツに代えて

短い期間に集中的にレコーディングにあたることは初めから決めていたので、それに向けた事前の準備にかなり試行錯誤がありました。特に今回は、機材の組み合わせをほぼ一新したこともあって、よりシンプルに、なおかつ良い意味でのライブ的なラフさを可能な限り良い音で伝えられるように工夫しました。

それぞれのトラックは、1時間もかけずにシーケンスを組んで、そのままの勢いで録音した最初のテイクのみを収録しています。あとから聴いて失敗していればその曲は使わないし、曲が足りないようであれば納得できるまで何度もゼロから作り直す。そのスピード感というか一回性が、本作の特徴になりました。
私にとって、こういう作りかたは椅子に座って頭で考えてやるものでも、ましてや本やテキストで学んだものでもなくて、あくまでも感覚と直感に基づくものです。それは、昼間は決して見えないものであったり、聞こえない音であったりするけれども、深夜のあのダンスフロアでのみ体験できる、さまざまな身体感覚。そういうわけで、こういうタイトルにしました。

楽器に関して言えば、Roland TR-8をメインに持ってきたことが音にもコンセプトにも大きく影響しています(ジャケットにも使っているし)。出したい音にすぐにリーチできる、というのがまずあって、そのうえでその音が「保存できない」ことが重要でした。
実は、このアルバムに収録した曲は、どれも元のシーケンスデータを一切残していません。ハードウェア機材のみによるトラック制作の何が良いかって、後戻りできなければ前に進むしかない、という推進力を与えてくれるところだと思うのです。音が残らなくても、経験は身体の中に蓄積されていくものだし、その結果として生まれたものがはじめは粗いものだとしても、徐々にディテールが磨かれていくはず。長いスパンではね。
一方、ショートスパンのレコーディングにあたっては、「一番活きのいい瞬間を掴む」ということが大事だと考えていて、その点には細心の注意を払っています。私は楽器がまったく弾けないのですが、その想像の範囲では、やはり楽器演奏に近いのかもしれません。

変な話、このプロセス自体は別に目新しいものでも何でもなくて、ひと昔前のテクノ制作ではこれが普通だったわけですよね。それに、アルバムに収録した曲には従来の4つ打ちテクノのフォーマットから逸脱するものはひとつもなく、全体として斬新な価値の転換をもたらすような類のものでもありません。
ただし、私はこれは懐古主義とはまったく違って、アートフォームとしてのテクノの普遍性が、テクノロジーの進歩によって、より強化されつつあるのだと捉えています。いくらジャンルの細分化が進み、流行が移り変わったとしても、ちょっとやそっとではブレない芯の強さが、テクノという音楽様式のなかには間違いなくあって、それが進化のタームごとに表出するのだと。本作も、そうしたうねりのなかの1点にすぎず、だからこそ奇をてらわず正面から、ツール=道具としての機能を持ったプロパーな音にこだわりました。

決して万人に向けたものではありませんが(そもそも趣味で作っているものはみんなそうだけれど)、頑張って作ったので、ぜひ届くべき人のもとへ届いてほしいなと思います。

M3当日はだいたいF-05b Body Informのブースにいます。旧譜2枚と、委託扱いでお預かりする「秋葉原重工」さんのコンピレーションもありますので、お気軽にお立ち寄りくださいね。そのほか、新譜に関するすべての情報はこちらの告知サイトでご案内しています。

R-9 - Nightsenses [Body Inform] (EPXBICD3) 2014年10月26日発売【M3-2014秋】 #nightsenses
http://www.epxstudio.com/nightsenses/

最近観た映画から(2014年9月~10月)

日記2014-10-20 17:54

先月に続いて(最近観た映画から | EPX studio blog)、9月~10月くらいの間に友人知人にお薦めされて観た映画の感想メモを、個人的な備忘録として書き残しておきます。新作も観に行きたいんだけど、別段映画館へ出かけるほど興味がありそうなものがなくて。強いて言えば、マルタ・アルゲリッチのドキュメンタリーくらいかなぁ。

そういえば最近また、自分がもともと映画嫌いだったことを思い出す。嫌いな理由を並べ立ててもあまり建設的でないので端折って書くと、2時間なら2時間じっと受け身でいなければいけないのが辛くて。それでおもしろい作品だったら良いんだけれども、自分に合わなかったり楽しめなかったりすると、ただ無為に過ごす2時間よりもしんどいというか。実は本・マンガにしろ音楽にしろ、昔から好き嫌いがかなりあるほうなので、合わない(可能性がある)ものを一定時間排他的に強制させられる、というのがたぶん性格的にダメだったんですね。

ところが今は、趣味の合う友人知人、もしくは観測範囲内でアンテナを張っておくだとか、事前にざっくり調べておくってことができるので、わりと大丈夫になりました。おかげで、素晴らしい作品がたくさんあるということも(今更ながら)分かってきたし、映像と音楽の総合芸術としての映画そのものに対しては、苦手意識はだいぶ軽減されました。ゼロではないけれど…。
もっと早く観ておけば、という作品もあるし、かえって未見のまま新鮮な体験ができてよかったという作品もあります。なので、感覚が真新しいうちに、メモ程度にでもフィードバックを残しておきたい。薦められた作品に関しては、薦めていただいた手前ということも多少はあるし。
閑話休題。

サカサマのパテマ

前から興味のあった作品で、ここうさんの家に遊びに行ったときに見せてもらいました。設定ありきのSFファンタジー。設定に関するSF的な考察は無用で、ただただシチュエーションが美しいし、それだけで十分。悪いイミでアニメ的な台詞回しと演出は自分の好みとは違いましたが、小物のデザインや『キルラキル』『LWA』の金子雄司さんによる美術は素敵だった。音楽が大島ミチルさんで、ボーイミーツガール&手を取っての逃走劇というシチュでもはや『ICO』と比較されるのは避けられず。テーマ曲もそっくりで…。

オブリビオン

トム・クルーズがモテまくりながら人類を救う映画。以前観た『月に囚われた男』にプロットが似ているなと思ったら、案の定指摘されまくっていた。ただ、こちらはサスペンスよりもヒロイックなアクション要素に重点が置かれていて、これはこれで最後まで楽しんで観ることができました。観終わったあとのもやもやは、How It Should Have Endedのおかげですっきり解消されたし(もちろんネタバレ)。メカデザイン最高。戸田奈津子の日本語字幕がちょー雑で、英語音声聴きながら頭のなかで再翻訳しつつ字幕と照らし合わせるという二度手間で勘弁してほしかった。

スペースバンパイア

トリガーの大塚さんと今石さんのTwitter上でのやりとりを見ていて興味を持ったんだけど、これは私には合わなかった。中盤くらいで置いてきぼりにされてしまい、初めて途中で観るのをやめた。B級だからイヤってことではないハズなんだけど、何も惹かれなかったんだ。

デビルズ・バックボーン

ギレルモ・デル・トロ監督の初期作品のひとつ。幽霊がテーマのホラーものということで、いかにもおっかないタイトルも相まってスプラッタNGな私は身構えていたけれど、全然恐いやつじゃなかった。むしろ、『パンズ・ラビリンス』のようなゴシカルなトーンのファンタジーもので、観終わったあとに喜怒哀楽のどれとも表現しがたい不思議な感傷の残る佳作でした。やっぱデルトロ作品は好みに合うのかもしれない。観て良かった。

ニュー・シネマ・パラダイス

映画好きの知人に薦められた作品。いくつか編集によるバージョン違いがあるそうで、レンタルしたのは3時間の完全版にあたるものでした。なるほど確かにいい映画で、特に伏線を生かしたラストカットは、本作の明確なテーマを訴えかけてくる力があった。
エンニオ・モリコーネの音楽は大変美しいのだけど、いかんせん劇伴としてのメリハリがなく、スーパーのBGMのように3時間鳴りっぱなしで、今ひとつのめり込めなかった(そこが良いんだと言われてしまうと、何も言えなくなってしまうけれども)。

少年期、青年期を丹念に描いてこその、壮年期の「昔は良かった」パートなわけで、そういう意味では単純に3時間だから長すぎるっていうこともなくて。ただ、作中アルフレードが結局どうしたかったのかってのは、解釈の余地がある。これを観た人はきっとそれぞれに自分の人生を重ねるのだろうし、ある程度年を重ねてから見直すと、また違う感想になるのかもね。

エイリアン2

去年izさんに薦められて『エイリアン』は観ていました。実はこれまで、シリーズまったく観たことがなかったのです。パニックホラー大作というイメージに反して、もっとずっと小ぢんまりしたスケールで、しかも心理的な駆け引きを描いたSFサスペンス密室劇なところが意外と好きで。話によると、『2』は監督も違うし、これとはまた違うと聞いていて、どんな感じなのかなと。

そもそも英語の原題は2でも何でもなくて、1作目のAlienに対して"Aliens"なんですね。その名の通り、エイリアンがいっぱい出てきて、そこを探検するというアドベンチャー的な作品でした。先に全滅した先遣隊の足跡を辿るシチュエーションだとか、この手の作品で定番になっている表現の元ネタがいっぱいあって、おもしろかった。特に後半は目まぐるしく展開が変わり、楽しめました。それでもなんというか、武器や兵器や海兵隊が出てきてワーみたいなやつよりも、1作目のほうが好きでしたが。

バンド・ワゴン

1953年のミュージカル映画。これは「ニンジャスレイヤー」に登場するキャラクターである「ザ・ヴァーティゴ」が、ついこの前、読者からの質問に答える形でAsk.fm上で薦めていた作品です。このアカウントは(細かい作中の設定をすっとばして書いてしまえば)「ニンジャスレイヤー」翻訳チームが運営しているもので、つまりはあの作品がどういうルーツを持っているかの鍵になりうるのではないかと。まあそうでなくても、単純に興味があって。

で観たんだけど、すっごく良かった。これまでまったく自覚したことはなかったけれども、私はミュージカルが好きなのかもしれない。歌もダンスも、名人によるショウそのもので、全体として人間離れした完成度に素直に感激してしまう。お話としては極めてオードソックスなもので、大筋はあらかた思い描いた通りに進むにもかかわらずですよ。

そしてまた、エンターテイメント作品の本質を問うたメタ的なテーマに、『ギャラクシー・クエスト』に近いものを感じた。特に本作は、異なる分野のエキスパートが出会って、新しいモノを作っていくことの困難が描かれていて、まさに今アニメを含めたマルチメディア展開を進めている「ニンジャスレイヤー」の制作者が(と敢えて断言してしまうけれど)、いま読者に薦めたい作品がこれなのかと得心しました。なるほどお。こういう映画ならいくらでも観たい。

パイプオルガンコンサート2014@青葉台キリスト教会

クラシック2014-10-13 18:05

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昨日たまたまTwitterを見ていたら、鈴木優人さんご本人による告知でコンサート情報を知り、地元ということもあり出かけてきました。そもそも青葉台のあんな駅の近くに教会があることも初めて知った次第で、ましてや、ガルニエ社製オルガンがあって、ときどきコンサートを開いているなんていうことも。

教会はまったく馴染みがないし、どういう感じのところかと思ったら、ちょっと大きめの小奇麗な住宅を改装したような雰囲気で、オルガンの設置されている集会所(と言っていいのか分からないけれど、礼拝堂ですね)が4階に。台風が迫るあいにくの天候のなか、140名の定員が満席になるほどの集客でした。

オルガンは、ミューザ川崎のような巨大なものではなくて、横2m、縦3m弱くらいの大きさ。一段鍵盤とペダル鍵盤がある。解説によると、95年4月にマルク・ガルニエ氏によって完成されたもので、今年も息子さんが来てこのコンサートのために調律をされたとのこと。

さて、この日の演奏曲目は、バッハのクラヴィーア練習曲集第3部から、手鍵盤のための作品全曲。つまり、プレリュードとフーガを除き、かつ21のコラール前奏曲から2段鍵盤とペダルのための曲を除いた11曲、それに4つのデュエット(BWV802-805)を加えた全15曲、1時間ほどのプログラムです。随所に優人さんによる解説があり、全体としてはとても無料のコンサートとは思えないほどのボリュームでした。

このクラスのオルガンの音色というのは、生では初めて聴いたけれど、意外に迫力のある音が出るものですね。ポジティフオルガンのようなかわいらしいコミカルな音も出るし、低音をたっぷり含んだ重厚な音も出る。音量はそんなになくても、低音が空気を満たしていくオルガンならではの響きというのを、あの広さの空間で感じられたのは新鮮でした。ストップ操作によっては、金属弁がビリビリ震えるような独特の倍音を含んだ音も。

オルガン・コラールは、厳粛とした雰囲気を漂わせつつも、聴いてみるとキャッチーなフーガの小品も多く、決してとっつきにくくない感じがバッハらしい。この曲集のなかで特に好きなのがAus tiefer~(BWV687)で、反行形や拡大形をしつこく取り入れた複雑な対位法で構成されていながら、悲壮な決意を匂わせるシリアスな雰囲気がいい。この曲は、以前シュテファン・フッソング氏がアコーディオンのレパートリーとして取り上げていて、すごく気に入りました。4つのデュエットは、近年フランチェスコ・トリスターノのレパートリーとしても定番のものです。

優人さんの演奏は、壁と一体になって設置されたオルガンに向かっているため表情こそ見えなかったものの、BCJでのときのように自在で軽やかなもので、すごく良かったです。今年は両受難曲、ロ短調ミサ、調布音楽祭と、いろいろな側面での活躍に触れる機会があってうれしい。今週末は、同じ青葉台のフィリアホールで横浜シンフォニエッタの指揮者として演奏会があるそうで、オランダにお住まいでありながら、何かと私の地元に縁があるのはちょっと不思議な感じがします。
連休の最終日、天気がアレで行楽日和とはいきませんでしたが、なかなかの気分転換になりました。

Bandcamp用にPayPalをビジネスアカウントへ

活動2014-10-10 16:42

M3合わせで制作中のアルバム「Nightsenses」を、せっかくなのでダウンロード形式でも販売しようと思っていて、それにあたってPayPalのアカウントタイプを変更しました。Bandcampで作品を売って報酬を受け取れるようにするには、PayPalアカウントを通常のパーソナルから、ビジネスかプレミアへ変更しないといけないとのことだったので。この変更自体は別に追加費用とかもかからないし、意外とスムースに終わったので、簡単に流れをメモしておきます。

PayPal(日本語) - ペイパル|ペイパルをはじめる|アカウントの種類について
https://www.paypal.jp/jp/contents/start/account/

既にパーソナルアカウントがあるのであれば、まずはPayPalにログインして登録方法に従ってフォームを入力します。そのうえで、本人確認書類をアップロードすると、数日後にハガキ(簡易書留)で登録した住所宛てに5ケタのコードが送られてくるので、そのコードをPayPalサイトで入力することで本人確認済みとなり、晴れてアカウントの変更は完了となります。

この申請からハガキの到着まで、私のケースで実質4日間ほど。オフィシャルに「約2~4週間」とあるので身構えていましたが、わりと早かったです。PayPal、まだいまひとつ分かりにくい点もあるんだけど、海外サイトで決済するときなんかも安心感あるし、いいですよね。BandcampやSteamなんかの買いものはだいたいPayPalで済ませます。

で、さっそくですが、Body InformのBandcampサイトにアルバム情報を掲載しました。既にプレオーダーの受け付けも開始しています(販売開始時にメールでお知らせが届くシステムみたい)。バラでも買えるようにしますが、アルバム買いのほうがもちろんお得になります。

Nightsenses | Body Inform
https://bodyinform.bandcamp.com/album/nightsenses

ちなみに、CDでお買い上げの方々にはmp3版を無償でダウンロードしていただける仕組みにしようと思います。これは(予定では)一定期間、CDに封入されているID/パスワードで特定URLにアクセスするとダウンロードできるもので、フォーマットは320kのmp3のみではありますが、タグとかメタデータのジャケ画像は全部入っているバージョンになります。

こういったご案内とかはまたおいおい。とりあえず、今日は印刷会社から紙ジャケットも届きまして、準備は着々と進んでいます。

M3アルバム曲のPVを制作しました

活動2014-10-06 18:01

月末の即売会「M3-2014秋」に向けて、新作ソロアルバムを制作中というのは先の記事で書いた通りですが(アルバム制作過程のメモ | EPX studio blog)、先日無事に音源・ジャケットともに入稿を完了しました。今回も盤はテックトランスさんの海外CDプレス(バルク)、紙ジャケは札幌のZaZaZaWORKSさんへ。このあたりの手順は、初めてCDを作ったときに記事にまとめていますので、もしご興味のあるかたはこちらでどうぞ。

CDの作りかた(実践編) | EPX studio blog
http://www.epxstudio.com/blog/2012/1016_how-to-make-your-own-cd.html

でようやく一息ついて、次はプロモーションということで、アルバム収録曲のなかから"Nexus"という曲のビデオを制作しました。YouTubeで公開しています。

この曲は、今回の作品"Nightsenses"のキーになるトラックのひとつと考えていて、全11曲のアルバムの中心にあたる6曲目に配置していることにも意図があります。なので、この曲をテーマに映像を作りたいという構想はあって、あれこれ試しているうちに、こういう形になりました。

映像制作、素人なりにやってみるといろいろとアイデアが浮かんで、もちろん実際に撮ってみたらイマイチで没にしたりとかもあったのですが、なかなか楽しかったです。脳の普段使わないところを働かせる感じ。過去に、Flashでターンテーブルを模したアニメーションを作ってPVにしたりとかはやっていて(R-9 - Mad Dog [Body Inform] - YouTube)、でもなんか、これから機会があればちょっと凝ったPVとかも作ってみたくなりました。自分の曲自体にはメッセージ性はないので、なんというか、抽象的な何がしかの感覚の「振れ」を増幅させるような映像がつけられたら、おもしろいですね。

アルバムについては、今週末くらいに試聴用のデモを公開します。その他、必要な情報は告知サイトを更新していくので、チェックしていただけるとうれしいです。自信作です。

R-9 - Nightsenses [Body Inform] (EPXBICD3) 2014年10月26日発売【M3-2014秋】 #nightsenses
http://www.epxstudio.com/nightsenses/
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