blog

フリーランスのWeb制作 : デザイン、HTML/CSSコーディング、CMS
EPXスタジオ www.epxstudio.com

『ゼロ・グラビティ』を観た

日記2013-12-15 12:35

14日、TOHOシネマズが安い日なので、公開されたばかりの映画『ゼロ・グラビティ』を観てきた。前に映画館で予告を見て、これは面白そうだと思っていたところ、先日出た『パシフィック・リム』DVDのギレルモ・デル・トロによるコメンタリーの最後のほうで、本作と監督のアルフォンソ・キュアロンに言及していて、俄然気になりだす。なんでも、共にメキシコ出身で仲が良いらしく、事実、本作のエンドロールのスペシャルサンクスの筆頭にデル・トロさんの名前がありました。

『ゼロ・グラビティ』(原題"Gravity")は、現代の宇宙を舞台にしたフィクション。スペースシャトルで船外活動中の作業員たちを、スペースデブリ(ロシアが破壊した自国の衛星の破片)が襲う。シャトルは壊滅的な打撃を受け、身ひとつで宇宙空間に放り出された作業員が、無事に帰還する手段はあるのか…というようなお話。

以下、できるだけプロットの本筋に触れるようなネタバレを避けて、断片的に感想を書きますが、今この時点で興味がある人は、読むのをやめて観に行ったほうがいいです。内容よりもまず純粋に視覚から受ける映像体験が100%なので、下手に自分以外の人によって言語化された情報を入れてしまうよりも先に、観たほうが。あと付け加えるなら、3D大画面で観ないと意味ないやつですこれ。情報量が明らかに違う。

でなんか、観終わったあとは本当に疲れてしまって。上映時間は90分程度と長くなく、3D酔いも全くなかったのだけど、フラッフラでした。

本作の面白いところは、出演者としてクレジットされているのはたった2人だけで、つまり全編にわたってほぼこの2人しか出てこない。宇宙空間で「密室劇」。しかも予告の通り、冒頭で宇宙服のみの状態で放り出されて、『ファイナルファンタジーVIII』の宇宙遊泳のシーンで何度もゲームオーバーになった自分からすれば、ここからどうドラマが展開し得るのかという。どう考えても"詰み"でしょう。でも、そこはそれ、ちゃんとドラマがありました。

序盤を観ながら、例の「車が故障した男女のコピペ」をずっと思い出していました。まあ、サンドラ・ブロックのほうが未熟な宇宙飛行士という役回りとはいえ、パニックにおけるありきたりな女性像が、あるあるで表現される。で、それをジョージ・クルーニーがどうするかというと、ダンディーなアメリカンジョークを交えて、やさしーく諭すのです。やっぱこうするのが正解なのかって感じ(けど、分かっててもこうはいかないよねぇ…)。

今年、地上波で放送された『エイリアン』を今更ながら初めて通して観たんだけど、観ておいてよかった。というのは、ところどころ似たような場面があって、明確にオマージュと言えるものはないかもしれないけど、リスペクトが感じられた。ごつい宇宙服と、引き締まった人体の対比とかも。

物理シミュレーションという意味では、ほぼ全編フルCGという本作がどれくらい理に適ったものであるのかというのは、素人には知る由もないけれど、これがこうなったらこうなるよね、っていうのを常に頭のなかで予測しながら。で、そのうえで宇宙空間での物理運動は、想像のさらに上を行く、冷徹で無慈悲な動きをするのです。その怖さは、無重力を体験したことがない自分にとっても十分に実感できました。

あるシーンで登場する胎児のアナロジーは、ちょっと露骨でこじつけっぽいとも感じたけれど、結果的にラストを引き立てる構造になっていて感心しました。要するに、あれを挟んだことによって、単にワーキャーいうパニック映画ではなくて、明確にひとりの主人公の決断と成長の物語になっている。そのあたり上手いなと思いました。

上手いといえば、音楽のつかいかた。徐々に極大に達する「爆音」と突然の「静寂」のコントラストが鮮烈で、この手法が最初から最後まで何度も繰り返される。そりゃあ宇宙空間は無音だけど、そのなかでの生命(=人間)の息遣いやテンションを音で表現するというのは、映像を補佐、補強する役割の映画音楽としては、十分に効果的な手法でした。

偶然、上映中に地震があったのはドキドキした。しかも始まって1時間くらいの、ある意味ヤマ場のシーンで震度2くらいで長く揺れたので、自分が映像にハマりすぎて錯覚しているのかと思ったほど。心臓に悪い。

ところで、原題は「ゼロ」のついていない"Gravity"で、いくつかのレビューを読むと誰もが思っているみたいだけど、原題のほうが本作のテーマを正しく表していてずっといい。つまりですね、「無」重力空間におけるパニックを再現しているだけの作品ではないということが、ちゃんと通して観ていれば分かるはずで、そこは尊重してほしかった。というか邦題とかもう要らないのにね。

個人的には、『パシフィック・リム』のように何度も観に行きたいかというとそうではなくて、最初の1回の体験がものすごく刺激的で、それだけで満足でした。

映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/#/home

この記事の関連タグ:

Share on Tumblr このエントリーをはてなブックマークに追加