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追悼ディアナ・ピアソラ

タンゴ2009-08-15 22:08

しばらくタンゴ関連の情報を追っていなかったので、最近知ったのだけど、アストル・ピアソラの娘さんで詩人・作家のディアナ・ピアソラが先月亡くなったとのこと。2005年にBBCが制作したドキュメンタリーDVD"Astor Piazzolla In Portrait"の中では、全編に渡ってインタビューで登場していて、元気そうな様子だったのに。

ディアナ・ピアソラ死去: tangodelog
http://tangodelic.tea-nifty.com/tangodelog/2009/07/post-dc22.html

ピアソラの最初の奥さんとの長女であるディアナは、父とはとても複雑な関係にあったようで、DVDでは、メキシコに亡命していた時の確執や、86年に父の伝記"Astor"を出版するまでの顛末が語られていた。伝記は邦訳されていないけれど、英語版を入手できたらぜひ読んでみたい。

ディアナにはアストル・ピアソラにまつわる大きな作品がもう一つあって、それが"Todo Fue(すべては過去)"という曲。五重奏団による62年のアルバム"Nuestro Tiempo(われらの時代)"に収録されている曲で、アストルの曲に、当時18歳だった娘のディアナが詩を書いたもの。タンゴというよりは、ピアソラ自身はライナーのなかで、一部にタンゴのエッセンスを持った「ブエノスアイレスの新しい音楽と新しい詩(La nueva música y la nueva poesia de Buenos Aires)」と表現している。歌はエクトル・デローサス。

この詩がすごく力強くて、後半に向かって上り詰めていくような音楽と絡み合って、異様な緊張感で迫ってくる。以下に詞の一部を抜粋(国内盤SICP 181より)。

Hoy vuelve a mí
きょうわたしに帰ってくる
tu raiz de puñal
おまえのナイフの根
y brató ciclón mi piel
わたしの肌は暴風を芽生えさせた
y a dolor, beso brutal
そして痛みには 残酷なキスが
que mi sombra alumbró
わたしの影を照らした
y estalló el tropel de sol mi visión.
そしてわたしの視界に爆発した太陽の群れ

Por mi piel al ser costa ya sin sol
もう太陽のない河辺になったわたしの肌を通って
hoy tu bruma en flor me buscó.
きょう花となったおまえの霧がわたしを探した
Por mi ayer, a mi voz,
わたしの過去を通って わたしの声に
pie de niebla mi adiós.
霧の足 わたしのさようなら
Sensasión. Qué dolor!
感覚 なんという痛み!
Todo fue...
すべては過去…

このアルバムは、モノラル録音ながら、他の曲も全曲素晴らしいので、ピアソラ入門としても超おすすめです。晩年の五重奏団や六重奏団のレパートリーにもなっている「天使の死」や「イマヘネス676」の初期バージョンも入ってるし、ラストの"Los Mareados"は最高!しかも、ピアソラ作品の中では比較的入手しやすいうえ、安い。Amazonでは以下から。

Amazon.co.jp:われらの時代
http://www.amazon.co.jp/dp/B000069623/
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